お寺ネット 仏事相談に「人形供養」に関する相談がありました
人形にとって一番いい方法は?
佐藤と申します。人形供養の事でご相談が有ります。
先日、掃除中に私が子供の時に飾っていた五月人形が出てきてどうしたら良いかと悩んでいます。
兜や他の装飾品は無く、むき出しの人形のみなので人形供養に出したら良いのか?、
人形自体は傷などは無く綺麗なので又装飾品などを買い揃えて飾ろうか?悩んでいます。
お人形にとって一番幸せな形をと思いアドバイス頂けたらと思います。宜しくお願いします。
持ったいないからではなく、思いを飾る
天台沙門様からのご回答
「人形にとって一番幸せな形」でしたら、やはり装飾品を新調なさって飾られることをお勧めします。
理由は「もったいない」からだけではなく、その五月人形には貴方の健康や幸福を祈って贈ってくださった方々の気持ちが込められているからです。
ですから、人形を大事にするということは、そういった祈りを大事にするということになります。
できることなら、そういった気持ちを貴方ご自身のお子さんに、人形とともにお伝えください。
五月人形はなぜ?飾るのか?
補足説明
「端午の節句」は、もともと古代中国の季節行事「五節句(七草の節句、桃の節句、端午の節句、竹(笹)の節句、菊の節句)」の1つでした。
節句・節供は、年に何回かある重要な折りめのことで、基本的には神祭を執り行う日とされます
このうち、特に、
1:人日じんじつ (正月7日)、七草の節句
2:上巳じょうし (3月3日)、桃の節句
3:端午たんご (5月5日)、端午の節句
4:七夕しちせき (7月7日)、竹(笹)の節句
5:重陽ちょうよう (9月9日)、菊の節句
の「五節句・五節供」と言われる風習は、中国から伝わった考え方に 日本の宮中行事などが
合わさったもので、
江戸時代の初期には江戸幕府によって「 式日しきじつ 」と定められ公武行事として行われました
このことが、こうした風習が武家から民間にも広まって行くきっかけとになり、
次第に一般にも定着したとされます。
「節句」とは、季節の変わり目という意味。
季節の変わり目には邪気が寄りやすいので、季節ごとの飾りとお供えものをして厄払いをし、
無病息災を願う風習がありました。
現在の5月はさわやかな初夏ですが、旧暦5月は今の6月にあたります。
つまり旧暦5月の中旬以降は、梅雨の時期になるのです。
「端午」は、旧暦5月の最初の午(うま)の日という意味。
武士が台頭してくる鎌倉から室町時代になると、この時期、武家では鎧や兜を出して、
家の中に飾る習慣がありました。
梅雨の目前に武具へ風を通し、虫干しと手入れをするためです。
端午の節句に兜や弓が飾られるのは、こうした武家の習慣に由来すると言われています。
兜や甲冑、弓などを戦闘の用具ととらえる考え方もありますが、
武将にとって兜や甲冑は、身を護る大事な装備。
五月人形の兜や甲冑には、「わが子を守ってくれるように」という願いが込められているのです。
意味から考える五月人形に関する2つの疑問
Q:五月人形は兄弟それぞれに用意しなければならないの?
基本的に人形は、人の厄を身代わり、願いを背負うものなので、一人一人に用意するのが理想です。
Q:五月人形は代々受け継いでもいいの?
五月人形の本来の目的は、お子様の健やかな成長を祈るためのもの。本来は一人一人に用意するものであり、お子様が無事に成長した時点で、その役目を終えます。
役目を終えた後は、感謝を込めて人形供養なさることをおススメします。