仏壇とは、何でしょうか?
多くの方は、ご先祖を祀るために用意するものとお考えの方が多くあります。
そこには、亡くなったお父さんやお母さんなど先祖のお位牌や、水子供養のお位牌と共に、遺影がお祀りされ
線香・お花・お茶・供物をお供えして、先祖が眠る場所という認識がお送ります
仏壇の本来の意味
「仏壇」の本来の意味は、文字通り、「仏像(本尊)」や「仏具」を飾り、仏様を祀る壇のことです。
家庭のお仏壇は、寺院にあるお仏壇(内陣)を小型にして、厨子と一体化して箱型にしたものです。
ですから、お仏壇は家の中のお寺のような存在とも言えます。
簡単に言うと、お寺まで毎日お参りに行けないので、自宅にその祈りの出張所をお祀りして、祈る場所の事です。
最近は、仏壇の中心に「お位牌」がお祀りされている方が非常に多くあります。
仏壇=亡くなった人のために購入するもの
と考えておられるようですが、昔から日本には「仏間」というものがあるように、
仏壇を祀ることで、日々の祈りの場所であり、感謝の心をはぐ雲場所であります。
仏が座るのが「須弥壇(しゅみだん)」
お仏壇の中央にあるくびれた台の部分は「須弥壇(しゅみだん)」と呼ばれます。
これは「須弥山」を表したもので、これより上は清浄な仏の世界、下は地上世界だと考えることもできます。
須弥山とは、お経の説かれた蓮華蔵の世界観をあらわしています。
良く知られたところですと、奈良の東大寺にお参りになった時を思い出してみてください。
大仏さん一人が座っておられたでしょうか?
蓮の花の上に座っておられましたよね?
その蓮の中に、線彫りした仏様が無数にあったことも覚えていますか?
また、菩提寺の本堂に行くと、そこには本尊がお祀りされていますね。
本尊の下には、様々な台座に乗っておられます。このように、仏様のおられる場所をあらわしています。
ご本尊を祀るのが空殿(くうでん)
須弥壇の上には「宮殿(くうでん)」があり、その中にご本尊の仏像・仏画などが祀られています。
先にも述べましたように、仏壇は、中央に仏像や仏画があってはじめて「本物の仏壇」となるのです。
本尊のない仏壇は、仏壇とは言えず、「箱」といっても過言ではありません。
仏様を迎えることで、家中が守護され、安心されるのです。
お仏壇の各所は、お寺の本堂と同じように、動植物や菩薩・天人などの彫り物や蒔絵などによって荘厳に装飾されています。
これらは「浄土」、つまり汚れのない清浄な世界を表していると言われます。
華は咲き乱れ、雲中供養菩薩や天人が音楽を奏でる
仏の世界観が、凝縮されたのが「仏壇」です
その、仏の世界観が仏典に説かれ、その仏典を拠り所にしている「宗派」の教えとなるのです
宗派によって本尊がかわる。
仏壇をいつ買うか?
仏壇を購入する時期にとくにきまりがあるわけではありません。
上記説明の通り、亡くなってから必要なものではないのですが、多くの方は、新仏が出来てはじめて購入されるケースがほとんどです。
そして、お墓を立てる時期と同様「四十九日法要」までに揃えられるのが一番多いケースです。
仏壇の種類
- 金仏壇
ヒノキ・杉・けやきなどの木地に、漆を塗り、金箔を押したもの
- 唐木仏壇
木目が表面に現れたもので、落ち着きがあるのが長所。木地は、黒檀・紫檀・タガヤサンなどが高級の部類で、カリン・ホウ・さくらなのが一般的です。
- 新仏壇
プリント版 キャビネット風のデザインなど工夫されていわゆる現代仏壇といわれるものです。現代仏壇は、現代の生活様式に沿って、洋間に合うような家具調の形をしていたり、中には、仏壇の中にお骨壺を納めて手元供養できる仏壇もある。
どのような形の仏壇でも問題はありません。また大きさも、田舎の家にあるような荘厳ででっかい仏壇から棚の上におけるミニ仏壇までさまざまあります。
ご家庭の事情に合わせた大きさの仏壇を求められるといいでしょう。
仏壇は、100年単位で大切にされるものです。ですから、安ければ良いというものではないと考えます。
経済的に余裕がなければ、無理して高価な仏壇を求めるのではなく、段ボールでも構いません。
また、仏壇が大切なのではなく、本尊が大切です。
ですから、本尊を棚の上に置かれ、その横にお位牌 そして遺影 線香・ろうそく・リン・花瓶・供物
それぐらいの準備でも良いと考えます。
ただ、経済的に問題なければ、わが家を発展させてくれた先徳のご恩に感謝し、家族がそろって手を合わせ、祈る場所と考えれば、出来るだけ立派な仏壇を求められるのがよろしいと考えます。
仏壇のある場所は、仏様が家族を御守りいただける場所であり、心安らぐ場所です。代々続く名家や老舗といわれる企業や会社は、必ずと言って厚く供養されています。
言い方を変えるならば、「先祖供養」をしっかりやっていない人が、長年の成功を得ている人はいないと言っても過言でないと考えます。
様々な宗教はあろうとも、先祖の感謝の思いは、まさにこの仏壇に宿るのではないでしょうか?
仏壇のまつり方
- 南面北座
仏壇の正面を南に向け、背が北になる祀り方。
手を合わせる方は、北に向いて手を合わせます。
- 本山遥拝
仏壇を前に手を合わせた時、その延長線上に自分の信仰する本山がある。仏壇に手を合わせると共に、遠くは本山に向かって遥拝しているように祀ります
- 西方浄土
仏壇を東に向けて祀る方法です。仏壇のお背を西に向けます。拝む人は、西に向かって手を合わせますので、仏壇を通してその先にある「西方極楽浄土」を拝む方法です。
これは、天台宗・浄土宗・浄土真宗の本尊が阿弥陀如来であり、西の西のかなたには、極楽浄土があると信じられていることからになります。お彼岸の始まりは、四天王寺から、真西に沈む夕日を眺めて、先祖を想起したことに由縁されていますが、太陽が真西に沈むその先には、極楽浄土があり、阿弥陀様のもとで亡くなった先祖がいるという考え方です。
菩提寺のある方は、そのご住職にお聞きになることをお勧めしますが、菩提寺のない方は、この仏壇の安置方法に困られるケースも多くあります(仏事無料相談=仏壇で検索してみてください)
まず第1に、仏壇は、多くの方が集まる場所が良い。仏間としてそのための部屋を確保することは、現代では難しいものであるでしょう。
わざわざ仏間を作るよりも、いつも身近に感じられるリビングやダイニングに置かれることをお勧めします。
皆さんが、気軽に手を合わせられる場所が良いと考えます。
仏壇を祀る注意点
- 窓際でない事 窓際であれば、どうしても日焼けしてしまいます。長く大切にしたい仏壇ですから日焼けしないように。
- 不浄でないところ トイレや流しの近くなど、水回りや不浄な場所に置くことは避けるといいでしょう
- 神棚とは向かい合わせにしない。 神棚と仏壇が迎え合わせにあることは、あまり望ましくありません。
仏壇の本尊位置
先にも述べましたが、仏壇の中心は、本尊であって、先祖の位牌ではないという事です。
最近はそのことを知らない方が増えてきており、ご自宅にご法事に伺うと、仏壇の真ん中にドーンと先祖の位牌を祀っていらっしゃいます。
人は、死んだら、仏さの浄土に生まれ変わり、そこで修行をすると考えられています。つまり、死んだときはまだ赤子のほとけであるから、本尊のもとで修業を積んでおられるのです。
ですから、中心には必ず、本尊とお祀りしてください。
その下の段に位牌を安置させていただくのです。通常は、右側から年代順もしくは、系列順に安置します。
(繰り出し位牌の場合は、その日に位牌を前に置きますので、その限りではありません。)
宗派の違いによる本尊のまつり方
天台宗の本尊
阿弥陀如来・釈迦如来・観音菩薩など特に決められた仏像はなく、菩提寺の本尊をお祀りになるのが良いでしょう。
ただし、本尊が不動明王や愛染明王といった場合は、本尊ではない場合が多いので、ご住職にご相談になってください。
本尊の右脇に高祖 天台大師 左脇に宗祖 伝教大師を祀る場合もあります。
右側から遠い先祖をお祀りします
真言宗の本尊
真言宗の本尊は、「大日如来」です。
仏像の場合と、仏画の場合があります。
どちらでも構いませんが、仏壇の大きさや形状に合わせて求められるといいでしょう。
本尊の右脇に 弘法大師 空海 左脇に不動明王 や両界曼荼羅をお祀りする場合もあります
豊山派では、本尊に金剛界大日如来 右に光明曼荼羅
智山派では、本尊に金剛界大日如来 右に弘法大師 左に興教大師
左から遠い先祖をお祀りします
浄土宗の本尊
浄土宗の本尊は「阿弥陀如来」です
浄土宗の本尊は、坐像(座った阿弥陀様が多くあります)
仏像でも仏画でも構いませんが、釈迦如来と似ているので注意が必要です。
違いは、阿弥陀定印といって、OKサインをした手が、座禅の時のようにおへその下にあります。
阿弥陀三尊として右脇に観世音菩薩 左脇に勢至菩薩をお祀りする場合もあります
また、右に善導大師 左に和順大師(法然)の場合も。
右側から遠い先祖をお祀りします
浄土真宗の本尊
浄土真宗の本尊は「阿弥陀如来」
本来、浄土真宗では、仏像よりも名号「南無阿弥陀仏」と書いた掛け軸をまつります。
最近では、仏像(立像)を祀るケースがおおくあります。
右脇には 帰命尽十方無碍光如来 または親鸞聖人
左脇には 南無不可思議光如来 または蓮如上人
右の手を上に、左の手を下にした立像です。
また、立像の後輩が亀の甲羅のようにある場合は「浄土真宗本願寺派(西)」
甲羅がないのが「浄土真宗大谷派(東)」
といわれています。浄土真宗でも東西だけでなく、高田派や興正派など分派されていますので、注意が必要です。
鶴亀の燭台は東(大谷派)で使用されます。
原則は、位牌を用いず、過去帳や法名軸に列記します
曹洞宗の本尊
曹洞宗の本尊は「釈迦如来」です。
右脇に 道元禅師 左脇に瑩山禅師
立像でも坐像でも良いようです。過去帳は下段中央に安置
右側から遠い先祖をお祀りします。
臨済宗の本尊
臨済宗の本尊は「釈迦如来」です
右脇に達磨大師 左脇に 観世音菩薩
曹洞宗と同じで、立像でも坐像でも構いません
日蓮宗の本尊
日蓮宗は、ひげマンダラといわれる日蓮上人がかかれた「南無妙法蓮華経」という大曼荼羅を本尊に前に日蓮上人像
右に大黒天 左に鬼子母神
右側から遠い先祖をお祀りします。
仏具について
三具足とは、
香炉(線香)・燭台(ろうそく)・花立(花瓶)の事を言います。
通常 中央に香炉 右に燭台 左に花瓶です。
五具足について
五具足とは、中央に香炉 左右に一対で 燭台 一対で花瓶をいいます。
正式な法事では、五具足が丁寧な方法とされています。
仏具に関して、普段使いなれないので、困る方も多くありますね。
もっと簡単に考えていただければいいでしょう。
お客様をお迎えするときどうでしょうか?
まず、部屋をいい香りでいっぱいにしますね。
そして、電気のなかった時代に、ろうそくは闇夜を照らす明かりです。
明るくお迎えしましょう。
そして、お花を飾ります。
美しいお花は、心をリラックスさせ、なごませます。
大好きな人の記念日にお花を贈るのも同じですね。
その他
打敷(うちしき)仏前の前卓を飾る金襴の敷物
仏飯器 ご飯を盛る器
茶湯器 お茶を供えます
高坏 菓子、果物を供えます
霊供膳 仏壇に供える本膳 お箸が仏様に向くようにお供えします。
灯籠 仏壇の中を明るくする(通常は電気のライトがあります)
鈴 りん
木魚 もくぎょ
貴賓(大切なお客様)を迎えると思って、定年にお供えをしていきましょう。
仏壇の開眼法要
最後に大切なお話です。
仏作って魂入れずといわれるように、仏壇を買ってきただけではただの箱であります。
そこに、仏様の魂が宿ってはじめて、「仏様」となりうるものです。
これを開眼(かいげん)といいます。
仏壇を安置すれば、必ず、開眼法要も忘れないようになさってください。