「戒名がないと納骨できないと言われました」
Q.戒名がないと、お墓に納骨できないと言われました。本当でしょうか?
先月、父を亡くしました。
父の遺志で、葬儀は家族のみ、読経も戒名も不要とのことで、
経済的な事情もあり、火葬のみで送りました。
その後、菩提寺へ納骨の相談をしたところ
「戒名がなければ寺の墓には入れられない。
それが宗派のルールだ。
戒名をつけられないなら墓を返してもらうしかない」
と言われ、大変困っています。
年金暮らしの母には戒名の費用は払えません。
お金がない人は、納骨もできないのでしょうか。
お寺ネットからの回答(要点整理)
① 戒名がないと寺院墓地に納骨できないのか
原則として、多くの寺院墓地では「戒名(法名)」が必要とされています。
これは金銭的な問題以前に、
寺院墓地は「仏教に帰依した方を仏式で供養する場」
という宗教的前提があるためです。
戒名は、
「故人が仏弟子として仏教に帰依した証」
という意味を持っています。
② 「墓を返すしかない」という説明は正しいのか
これは正確ではありません。
-
「戒名を付けない人をその墓に納骨できない」こと
-
「すでにある墓そのものを返還しなければならない」こと
この二つは別の問題です。
戒名を付けない=即「離檀」「墓地返還」
という決まりはありません。
③ 経済的に戒名料が払えない場合
仏教本来の考え方では、
-
高額な戒名でなければならない
-
一括でなければならない
という決まりはありません。
現実には、
-
分納
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簡素な戒名
-
納骨時の法要をもって儀式とする
など、住職の裁量で柔軟な対応が可能なケースも多くあります。
④ 父の遺志(戒名不要)と納骨の問題について
ここが最も大切な点です。
-
父の遺志を最優先するのか
-
祖父母と同じ墓に納めることを優先するのか
この二つの価値が衝突している状態です。
どちらが正しい・間違いではありません。
ご家族で納得できる選択をすることが何より大切です。
⑤ トラブルを防ぐために大切だったこと
今回のような問題は、実は少なくありません。
-
仏式葬儀をしない場合
-
家族葬・直葬の場合
事前に菩提寺へ一報を入れることで、
多くのトラブルは防げます。
今回は、
「家族葬だから連絡は不要」と説明した葬儀社側の配慮不足
という側面も否定できません。
お寺ネットからのメッセージ
仏事には
「こうでなければならない」という正解はありません。
しかし同時に、
宗教的な前提や寺院ごとの事情があることも事実です。
大切なのは
-
故人の思い
-
残された家族の生活
-
無理のない供養の形
そのバランスを一緒に考えることです。
同じようなことで悩んでいる方へ
-
戒名で悩んでいる
-
納骨やお墓のことで困っている
-
菩提寺との関係に不安がある
そのような方は、
一人で抱え込まず、お寺ネットにご相談ください。
宗派・事情を問わず、
仏事の考え方をわかりやすくお伝えします。
お寺ネットの掲示板内容
Name: はなはな
Date: 2010/02/15(月) 17:42 No:3507 削除
Title: はじめまして
先月、父を亡くしました。
生前の父の遺志で、葬儀は家族のみ。読経もしなくていい。戒名もいらないと言われてました。長年、病院での治療費もかさんだ為、母には貯金もなく、私も女手一つで子供を育てているので、援助も出来ず、結局、火葬のみで、他は一切行いませんでした。ただ、菩提寺に納骨の件で連絡したら、戒名をつけなければ、墓に入れる事は出来ないと言われました。それが、曹洞宗のルールだと…。
年金暮らしの母には、戒名をつけるお金等ありませんと伝えましたが、それなら、墓を返してもらうしかないと言われました。
本当にそんなルールがあるんでしょうか?お金がない人は、お墓に納骨さえ出来ないんでしょうか?
大変困っています。
勉強不足で申し訳ありませんが、どうか教えてください。
Name: リアリスト
Date: 2010/02/16(火) 00:17 No:3508 削除
Title: Re:はじめまして
曹洞宗のルールは知りませんが、宗教として考えないで、寺の経営と考えればよいのでは。。
お寺は収入を得るために宗教行為を行っている。
葬儀、法事といった収入を得るための行事に金を払わないのは不良な顧客。不良な顧客は排除して、空いたスペースを有効に活用したいというのが本音ではないでしょうか。
Name: 天台沙門
Date: 2010/02/16(火) 11:06 No:3509 削除
Title: Re:はじめまして
まずはお悔やみを申し上げます。
実際に、葬儀や年回の法要を司る者の立場から申し上げますと、父君が亡くなられた段階で「故人の遺志なので、菩提寺さんをお呼びしての通夜葬儀は行いませんが、納骨などはよろしくお願いいたします」と、ご一報いただければ以降の展開は変わっていたと考えます。
つまり、その段階でいろいろな相談事が菩提寺さんから投げかけられていたはずで、そこには「寺墓地に納骨するには戒名が必要だ」とか「戒名をつけるための法要を納骨時にしましょう」とか「現実問題としての費用をこれだけ納めていただきたい」ということが含まれていたはずです。
菩提寺さんにしてみれば「法要もしないで納骨とは何事だ。寺の墓は遺骨置き場ではない」という感覚をお持ちになられたのかもしれません。
このあたり、葬儀社さんの心遣いによってトラブルの有無が大きく変わります。
さて。
(1)戒名をつけなければ、墓に入れる事は出来ないと言われました。
この件に関しては、曹洞宗に限らず、すべての宗教にあてはまる現実です。これは「ある宗教に則った儀式を行うには、その宗教を信じている必要がある」という暗黙の前提があるからです。
本質的には、神道・キリスト教・イスラームも同様です。
ただし、日本社会においてはキリスト者さん・ムスリムさんは社会的少数者であるのと同時に、ご本人の意識的な信仰告白が必要なので葬儀の際の問題は起きないと考えられます。また、神道さんでは「お宮参り」をもって信者と認めているうえで、「俗姓名」+「尊命」などの神号をとられますので戒名問題も発生しません.
仏教における現実も、ある寺の壇家であるという点をもって仏教徒とみなします。
ですが、意識的に仏教徒であることを示す場合には「戒名/法名」を名のることによって仏教に帰依したことを示します。たとえば千宗室さんの「宗室」が居士号という名の(大徳寺に参禅して授かる)戒名なのですが、残念ながら大多数の仏教徒は死後に戒名をもらうことが普通になってしまっているのも現実です。
ですから、通夜葬儀を行わないと、故人に戒名を授けること(すなわち故人に仏教に帰依いただくこと)ができません。そうなると、戒名のない人(すなわち仏教に帰依していない人)を仏式で供養することになりますが、それは宗教的にできないということになります。
前述の「ある宗教に則った儀式を行うには、その宗教を信じている必要がある」という暗黙の前提は、個人が複数の信仰をもつことを許容する日本社会では無視されがちです。多くの日本人にとっては、この宗教上の原則と初めてナマの現実として向き合う場が、よりによって葬儀の場となってしまっています。そのうえ、こういった宗教上の問題を伝えない僧侶が多すぎるのも現実です。
(2)年金暮らしの母には、戒名をつけるお金等ありませんと伝えましたが、それなら、墓を返してもらうしかないと言われました。
これは根拠のない「ウソ」です。
ある人物を墓所に埋葬しないことと、その人物が埋葬されるべき墓所を返還して離檀することは同一ではありません。
極端な例をいえば、親がキリスト者なので仏教寺院墓地に埋葬できないし自分もキリスト者だが、仏教寺院の墓地に眠る祖父母や親族を仏式で祀り続けることにはやぶさかでないという人物に対して「墓を返してもらう」とは言えません。
逆に、私から確かめさせていただきたい点があります。
第1点は、父君のご遺志に背いても納骨の方便として戒名を得ることはよしとなさるのか、という点です。
第2点は、単純に「戒名料」や「法要布施料」の金額の多寡の問題として解決できるのか、という点です。
第3点は、菩提寺さんとのおつきあいはどのようだったのか、という点です。
以上、よろしければお教えください。もう少々、具体的なご回答が可能かと考えます。
Name: はなはな
Date: 2010/02/21(日) 02:09 No:3511 削除
Title: Re:はじめまして
天台沙門様
ご丁寧な返信、ありがとうございます。
実際、納棺の際、葬儀屋さんに、菩提寺への連絡の有無を確認した時、『家族葬だから、必要ない。落ち着いたら、納骨の件でお電話すれば、大丈夫』と言われ、『そういうものか』と、疑いもせずに来てしまったので、このような結果になってしまいました。
また、
第1点は、父君のご遺志に背いても納骨の方便として戒名を得ることはよしとなさるのか、という点です。
↑祖父母の眠る墓に、一緒に眠らせてあげたいけれども、そのために戒名をつけるのは、父は望まないと思います。
第2点は、単純に「戒名料」や「法要布施料」の金額の多寡の問題として解決できるのか、という点です。
↑石屋さん含め、最低35万と言われ、それは到底無理です。
分納も打診しましたが、出来ないと…
第3点は、菩提寺さんとのおつきあいはどのようだったのか、という点です。
↑父の幼なじみのお坊さんで、疎開中に近所だったよしみで、安く墓地を用意してくれたそうです。お彼岸とお盆には、護持会費、付け届け等を払い、ご挨拶しておりました。
以上、わかりにくい文章で申し訳ございませんが、よろしくご指導くださいますよう、お願い申し上げます。
Name: 天台沙門
Date: 2010/02/23(火) 14:25 No:3513 削除
Title: Re:はじめまして
ご事情の開陳、ありがとうございます。
(1)祖父母の眠る墓に、一緒に眠らせてあげたいけれども、そのために戒名をつけるのは、父は望まないと思います。
(a)16日付回答の通り、寺院墓地に葬られる条件として「戒名をつける」というものがあります。よって、戒名なしで寺院墓地に納骨するということは難しいでしょう。
便法としては、俗名を音読して戒名のように扱う(山田太郎=「やまだたろう」を山田太郎信士「サンデンタイロウシンシ」)というものがありますが、あくまでも住職さんとご相談の上でということになります。
(2)石屋さん含め、最低35万と言われ、それは到底無理です。分納も打診しましたが、出来ないと…
(3)父の幼なじみのお坊さんで、疎開中に近所だったよしみで、安く墓地を用意してくれたそうです。お彼岸とお盆には、護持会費、付け届け等を払い、ご挨拶しておりました。
(b・c)個人的なおつきあいがあれば、私なら「戒名なし」は前述の便法でかわして、「葬儀無用」は納骨時の法要を葬儀式として行います。また普段のおつきあいも普通でしたら、信用という意味のクレジットもあるわけで分納くらいかまわないと考えます。
ただし、個人経営的な寺院ならば住職の裁量権が大きいのですが、檀信徒会や石材店が寺院運営に発言権をもっている場合には、住職の裁量よりも規則による杓子定規な運営が行われる可能性があります。戒名については「檀家なのに戒名ももらわないで」とか、金銭面では「みんなが納めている金額を納めずに、何が檀家だ」という保守的な意見はありがちです。
それにしても、お父上がその住職さんに「読経もしなくていい。戒名もいらない」と、お伝えになっていなかったのか残念でなりません。
また、葬儀にまつわるトラブルとして「仏式葬儀をしなかったので納骨を拒否された」とか「他宗派の戒名の付け直しを求められた」というのは少なくない事例です。よって業者の対応としては「菩提寺への連絡の有無を確認した時、『家族葬だから、必要ない。」のではなく「仏式葬儀ではなく家族葬だからこそ、菩提寺に一報を入れさせる」のがトラブル回避のために必要なことでした。ということは、菩提寺さんへの納骨のためには、ご家族の依頼だけではなく葬儀社の謝罪も必要になるかもしれません。
以上、ご参考までに。


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