① 写経は供養になりますか?
はい、写経は立派な供養になります。
写経は、亡き方の冥福を祈ると同時に、
写す人自身が心を整え、死を受け入れていくための大切な行いでもあります。
特に事故など突然の別れの場合、
供養は「亡き人のため」だけでなく
遺された人の心を鎮める行為でもあります。
② 写経の「為」の後には何を書けばよいですか?
葬儀後であれば、
**俗名ではなく戒名(法名)**を用いるのが一般的です。
例としては、
- 為 ○○信士 一七日追善供養也(一七日とは、初七日の意味です)
- 為 ○○信士 七七日追善供養也(七七日とは、四十九日の意味です)
など、亡くなってからの週忌(七日ごと)に合わせて記すと丁寧です。
③ いつまで写経を続ければよいのでしょうか?
一つの大きな区切りは四十九日(満中陰)です。
まずは七週間(四十九日)を目安に続けてみてください。
それでも気持ちが落ち着かない場合は、
- 百か日
- お彼岸
- お盆
- 一周忌・三回忌
といった節目を区切りに考えてもよいでしょう。
供養に「ここまでで終わり」という決まりはありません。
④ 書き終えた写経はどうすればよいですか?
主な方法は次の通りです。
- 四十九日法要の際に菩提寺へ納める
- 巡礼先(西国三十三所など)で観音経と共に納経する
※お寺によっては「納経料」が必要な場合がありますので、事前に確認されると安心です。
⑤ 突然亡くなった祖父は、自分の死を自覚していなかったのでしょうか?
仏教では、
死の瞬間、人は自らの死を受けとめ、新たな世界へ向かう
と考えます。
生きている間に死を意識することは少なくても、
死の瞬間は、誰もがそれぞれの形で受け止めるものだと信じられています。
突然の別れであっても、
あなたの祈りや写経は、確かに祖父に届いています。
追加のご質問:戒名について
Q.戒名にランクがあるのはなぜですか?
「居士」にはどんな意味があるのでしょうか?
A.戒名のランクは、供養の善し悪しとは関係ありません。
戒名(法名)は、仏教徒としての名前です。
本来は「仏道に帰依した証」であり、
戒名の格が高いから成仏しやすい、ということはありません。
「信士」は一般的な在家信者を示す呼び名で、
「居士」は、在家でありながら仏道に親しんだ人を敬って呼ぶ尊称でした。
現在では歴史的な背景から
経済的貢献と結びついて扱われることもありますが、
供養の価値そのものに上下はありません。
お寺ネットからのメッセージ
突然の別れの悲しみの中で、
写経という形で祖父を思い続けておられること自体が、
何よりの供養です。
仏事に詳しくなくても構いません。
わからないことを「わからないままにしない」ことが、
心を整える一歩になります。
お寺ネット仏事相談掲示板より
Title: 供養と写経について
先週のことです。
祖父が交通事故で亡くなりました。
悲しくて悲しくて仕方ありません。
しかし現実を受け入れなければならないと思ったので、祖父の供養と、私の気持ちの整理の意味も込めて、亡くなった日から写経を続けています。
せっかく始めたので、しっかり祖父の供養になるようにしたいと思うのですが、
「為」の後には、何を記入すれば良いのでしょうか。
※ちなみに、葬儀までに書いたものは祖父の俗名と「追善供養」と記入し棺に入れて火葬しました。
また、もしも区切りをつけるとすれば、いつ頃が良いでしょう?
満中陰ぐらいでしょうか。
そして、その後はどのように処理?すれば良いですか。
年が明けたら、西国三十三箇所を回り、その際には観音経の写経を納めようと思っています。
(以前から、行きたかったのです)
突然亡くなり、もしかしたら祖父は自分が死んだのを自覚してなかったら、とかも思ってしまいます。
まだ悲しさで頭が混乱していて、文章がおかしいかもしれません。ご容赦下さい。
そして質問ばかりですみません。
まだ大学生なので、こういったことに疎いのです。
Name: 天台沙門
Date: 2009/11/18(水) 10:45 No:3410 削除
Title: Re:供養と写経について
突然のことで、お嘆きのことと存じます。
「死」というものは受け容れがたい現実です。特に、事故死や若くしての死というものは遺された人々にとって、さらに受け容れがたいものとなります。
「葬儀」・「お弔い」・「鎮魂」とは、その死を受け容れるための過程です。受け容れがたい死であればあるほど、死者の鎮魂はきちんと行われるべきであり、それは生者の鎮魂=死の受容とも並列の関係となってきます。
Q1)「為」の後には……
A1)俗名を戒名に変えるだけで、ご葬儀以前と同様でよいでしょう。お亡くなりになったのが先週のことでしたら、いまは二七日の前ということになるわけですから、「為○○信士二七日追善供養也」などとすると丁寧です。なお、次の週は「三七日」、その次は「四七日」となります。
Q2)もしも区切りを……
A2)そうですね。四十九日が大きな区切りになりますので、まずは7週間続けてください。それでも落ち着かないのであれば、百カ日・春彼岸・夏の盆・秋彼岸・一周忌・三回忌という区切りを目安にしてください。
Q3)どのように処理すれば……
A3)四十九日法要のときに菩提寺さんに納める方法があります。または、西国巡礼をなさるときに『観音経』と一緒に納める方法もあります。いずれにせよ、お寺によっては「納経料」が必要になるかもしれませんので、お調べください。
Q4)祖父は自分が死んだのを自覚していなかったら……
A4)生きている間は自分の死を意識せずに生きていくのは普通でしょうが、しかし死の瞬間、誰もが自身の死を肯定的(例えば、極楽浄土に往生させるために阿弥陀如来が来迎する、神の御許に誘うために天使が降臨してくれる)に自覚すると私は信じています。
死というものは、極めて個人的で不可逆な体験です。ですが、ぎりぎりのところでこちらの世界に留まった方もいらっしゃいます。そのような体験記として、立花隆『臨死体験』(文春文庫)・太田哲也『クラッシュ』(玄冬社文庫)をお勧めします。
また、自分自身の死の受容という観点からの文献としてキューブラー=ロス『死ぬ瞬間』(中公文庫)をお勧めします。
Name: 汐
Date: 2009/11/18(水) 18:13 No:3411 削除
Title: Re:供養と写経について
天台沙門さん
お返事ありがとうございます。
なるほど、名前を戒名にすれば良いのですね。
早速そのようにしていきたいと思います。
ひとまず、四十九日を目標に自分にも言い聞かせながら生きていきます。
残された家族のためにも、私はしっかりしないといけませんので‥
納経については、旦那寺さんの方に聞いてみます。
お金がどれくらいかかるのか、によって対応していきたいと思います。
また、色々な書籍をご紹介いただきまして、ありがとうございます。
ぜひ読んでみたいと思います。
また、少し疑問に思ったことがありまして、もしよろしければ教えていただけませんでしょうか。
戒名についてです。
どうして戒名には、ランクみたいなのがあるのですか?
ランクが高ければ、何か供養に良いことがあるんでしょうか。
祖父は「居士」というのがついているのですが、何の意味があるのですか?
(祖母は、今までの位牌と同じようにしただけらしいので、よくわかりません)
もしかしたら、的外れな質問なのかもしれませんが、よろしくお願いします。
Name: 天台沙門
Date: 2009/11/19(木) 17:11 No:3412 削除
Title: Re:供養と写経について
Q5)どうして戒名には……
A5)戒名にランクが発生したのは歴史的なものですが、そのランクによる供養に関する善悪や良否はないですし、往生・成仏のレベルが高くなるということもありません。
そもそも「戒名」もしくは「法名」とは、仏教徒としての名前というほどにすぎません。宗教学者の島田正己氏は「ライフステージによって名を変えていた日本人にとっての死者の名である」と言っておられます。私は故人の人格を表す墓碑銘であると理解していますが。
戒名の末尾につく「信士」・「居士」は、どのていど仏道に熱心だったかを示す言葉でした。「信士」は、信じている人、ということで仏教徒であることを示す一般名詞です。
そして出家修行者ではなく在家の信者であるにも関わらず、仏道に通じている人のことを「居士」と称しました。後世では「ちょっと世間を離れている尊敬すべき人」という気分を表す尊称となり、例えば夏目漱石が「漱石居士」と称されます。
ですが、現状では、それすらもランクの一部となっています。具体的には、お寺にいろいろと(とくに経済的に)貢献なさった方に対して「居士」号を授ける例が多いようです。
これは「院号」も同様で、もともと寺院に経済的な貢献ができる人は、古代は皇族・貴族であり、中世から近世では武家・豪商でした。皇族のうち「法皇」と呼ばれる人々は「○○院(例:後白河法皇=後白河院)」と称されます。その人が住んでいた建物を「○○院(例:光源氏の邸宅は六条院)」と称し、個人名の代わりに建物の名を使ったのです。
そういった社会的地位の高い人々の戒名が「院号居士」でして、まあ家柄を表すものと同等に扱われたといってもいいでしょう。これが、明治以降は戦死した人に「院号居士」をつけることが多くなり、さらに戦後は「格の高い戒名」が売買されるようになってしまいました。
戒名の格についての概略は以上です。
Name: 汐
Date: 2009/11/20(金) 07:04 No:3413 解決 削除
Title: Re:供養と写経について
天台沙門さま
お返事ありがとうございます。
今までの謎が解けました!
そういうことだったのですね。
今後わからないことは、そのままにせず、自分なりに調べてみようと思います。
現代の日本人は無宗教とはいいながら、仏教も私たちの生活に根付いている部分も多く(仏教用語とか)色々興味深いので、もう少し勉強します。
本当にありがとうございました。

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