実家では大切にしてきた法要やお墓参りが、結婚先では同じように行われていない。その違いに戸惑い、子どもに何を伝えたらよいか悩まれるお気持ちが伝わってきます。ご家族を一度に変えようとせず、ご自身が大切にしたい感謝の心を、できる範囲で暮らしの中に表していくことから始めてみてください。
お寺ネット 仏事相談|相談者:悩める嫁さん|2008年2月12日11:00|No.158「主人方の」
相談内容を要約し、当時の回答と新たな解説を分けて掲載しています。ご相談原文
ご相談:義実家と実家で、先祖供養への考え方が違います
夫の両親は親戚付き合いが少なく、帰省しても先祖のお墓参りをする機会がありません。義母方でも、祖父母の年忌法要が行われていないことが気になっています。祖母の仏壇は、現在は義母が引き取っています。
また、義母には、亡くなった兄たちが祖父母と同じお墓に納骨された経緯について、納得できない思いがあるようです。祖父母のお墓参りには行きますが、兄たちには手を合わせたくないと話しています。
一方、私の実家は親戚付き合いが深く、先祖の年忌法要やお墓参りを大切にしています。同居する義母には、私が仏壇やお墓に手を合わせることを遠慮されているように感じます。私の実家の法要に夫が参加することにも、よい顔をされないようです。
私には男の子が2人おり、実家の仏壇で手を合わせることを教えています。夫の家の供養も伝えたいのですが、どこまで口を出してよいのか分かりません。私にできることはあるでしょうか。
当時の回答:勝運寺山主さん(No.169)
2008年2月13日00:40の回答では、ご主人の実家の事柄や事情をあまり気にしすぎないように、と伝えています。そして、まず大切なのは、子どもたちに仏さまの前で感謝し、手を合わせることの大切さを教えることだと答えています。
住職からの加筆:戸惑いを抱えながら、違いを知るところから
当時の「気にしすぎないで」という言葉は、あなたの悩みを軽く扱うためではなく、すべてを一人で背負わなくてもよい、という助言として受け止めていただければと思います。大切にしてきた習慣が違うと、寂しさや心配を感じるのは自然なことです。
ただ、年忌法要を親戚一同で営んでいないことだけで、故人を大切にしていないと決めることはできません。費用、健康、距離、長年の関係、信仰など、ご自身にはまだ見えていない事情があるかもしれません。義母さまがお墓参りを続け、仏壇を引き取っていることも、まずはそのまま受け止めてみましょう。
「実家ではこうしているのに」と比べるより、「この家では、これまでどのようにお参りしてきたのですか」と、聞ける範囲で教えていただくところから始めると、話しやすくなるかもしれません。話したくない事情まで聞き出す必要はありません。
嫁の立場でも、手を合わせる気持ちを大切にできます
故人を偲び、仏さまに手を合わせたいという気持ちは、血縁のある方だけのものではありません。嫁いだ立場だから、その思いを持ってはいけないということではないのです。一方で、家の仏壇やお墓の管理には、その家で守ってきた作法や事情があります。
義母さまには、たとえば「私も感謝の気持ちでお参りしたいのですが、一緒に手を合わせてもよいですか」「次のお墓参りで、ご一緒できるときがあれば教えてください」と、控えめに希望を伝えてみてはいかがでしょう。
返事がすぐに得られなくても、何度も迫る必要はありません。お参りの同行が難しいときも、静かに故人を思うことはできます。お供えや掃除を申し出る場合も、仏具や位牌を勝手に動かすことなく、まず一言相談してください。
子どもには、怖さではなく感謝の心を伝えましょう
「手を合わせないと悪いことが起こる」「あちらの家は供養をしないからよくない」と教える必要はありません。子どもが家族のどちらかを悪者にしなければならないような説明は避けたいものです。
「昔、家族を支えてくれた人たちに、ありがとうと伝える時間だよ」「今日はおじいちゃんのことを思い出してみよう」と、年齢に合った言葉で話してみてください。写真を一緒に見る、故人の好きだったものや思い出を語ることも、身近な入口になります。
合掌を一緒にしてみるときも、形を厳しく正すことより、その意味を少しずつ伝えましょう。お子さんが疑問を持ったり、すぐには参加したがらなかったりしても、急いで結論を求めなくて大丈夫です。
父方・母方のどちらの家族も大切にできること、そして家ごとに習慣が違うことを伝えてください。男の子だから将来の供養をすべて背負う、と今から決めつける必要もありません。
ご主人には、家族への批判より自分の希望を伝える
「あなたの家は供養をしていない」と切り出すと、ご主人も責められたように感じるかもしれません。「私は子どもたちに、亡くなった家族に感謝する機会を作りたい」「あなたのご家族の思い出も聞かせてもらいたい」と、ご自身の願いを伝えてみましょう。
実家の年忌法要への参加についても、「必ず来るべき」と結論を先に置くより、その法要を大切に思う理由を話し、ご主人の都合や気持ちも聞いてみてください。参加するかどうか、どのくらい関わるかは、ご夫婦で相談してよいことです。
ご自身だけが両家の連絡や準備を引き受ける必要はありません。小さなことから役割を相談し、どちらか一人に負担が偏らない形を探していきましょう。
納骨をめぐる怒りと、供養の相談は分けて考えます
義母さまには、納骨の進め方について傷ついた思いや、納得できない気持ちが残っているのかもしれません。しかし、今回の相談文だけでは、当時の合意や墓地の管理状況は分かりません。誰が正しかったか、納骨が不適切だったかをここで判断することはできません。
「もう許して、一緒に供養しましょう」と急がせず、「そのことが今もつらいのですね」と気持ちを受け止めることと、ご自身が静かに手を合わせることを分けて考えてみてください。無理に仲直りを取り持つ役まで引き受けなくてよいのです。
お墓の管理や今後の納骨について具体的な確認が必要になったときは、関係するご家族と墓地管理者・菩提寺で話し合うことになります。怒りを解消するために、ご自身だけでお墓や遺骨の扱いを変えることは避けましょう。
法要をしたいと思ったら、まず相談を
年忌法要を営みたい場合は、まずご主人や義母さまに希望を伝え、菩提寺や故人の命日、これまでの供養について分かる範囲で確認しましょう。家の法要を独断で予約したり、親戚を招いたりするより、ご家族が受け止められる形を探すことが大切です。
家族での話し合いが難しいときは、お寺に「家族のやり方を否定せず、自分にできる供養を考えたい」と相談する方法もあります。僧侶の言葉を家族を説得するための武器にせず、気持ちと事情を整理する助けとしていただければと思います。
いま生きている家族を大切にすることも忘れずに
供養を大切にしたいという願いが、毎日の暮らしで互いを責め合う苦しさにつながってしまうのは、つらいことです。亡き方を思う時間とともに、いま目の前にいる家族の気持ち、自分自身の心の余裕も大切にしてください。
今日できることは、お子さんと故人の思い出を一つ話すことかもしれません。義母さまに「お墓を守ってくださってありがとうございます」と伝えることかもしれません。ご自身の感謝を、小さな行いとして続けるところから始めてみましょう。合掌
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※2008年の相談No.158・回答No.169をもとに、個別の親族関係を要約して編集しています。ご家族それぞれの事情や気持ちは、相談文だけでは判断できません。仏壇・墓地・法要の具体的な作法は、関係するご家族と菩提寺へご相談ください。

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