「女性が出家して尼さんになるには、どうすればよいのでしょうか」。お寺ネットに寄せられた短いご相談をもとに、僧侶を目指す最初の一歩を考えます。当時の回答には特定の信仰上の見解が含まれるため、その要旨と、今回追加した住職の説明を分けてご紹介します。
結論|女性も僧侶を目指せます。まず学びたいお寺へ相談を
女性が僧侶になる道はあります。ただし、出家・得度の条件や修行の進め方は宗派によって異なります。全国共通の一つの申込先があるわけではありません。関心のある宗派の寺院や宗務所・教務所などに、女性の得度や修行について相談することから始めましょう。
まだ宗派が決まっていなくても構いません。法話や写経、坐禅などの公開行事に参加し、教えと実際のお寺の生活に触れながら、学びを続けられる師や場所を探してください。
ご相談|女性が出家して尼になるには?
相談者:オレンジさん
投稿日:2008年2月19日 22:09/相談番号:No.237
原題:尼さんになるには?
「女性が出家して尼になるには、どのようにすればなれますか? 教えて下さい」
当時の回答について|信仰上の見解と、一般的な手順を分けて読む
回答者:人生カウンセラーさん
回答日:2008年2月20日 14:37/回答番号:No.244
当時の回答は、剃髪や袈裟などの外見だけで出家が成り立つものではなく、仏法を中心に生きる覚悟が必要だ、という趣旨でした。一方で、法華経への帰依を基本とし、友人や親戚との付き合いがなくなるものと考えるよう述べています。末尾には「仏法協会の見解」と記されていました。
この回答は、投稿者が示した信仰上の立場によるもので、女性が僧侶になるための全宗派共通の条件ではありません。回答者名は当時の表示名のまま掲載し、僧侶資格や団体の公式見解であるかどうかは本記事では確認していません。以下は今回追加した住職の補足です。
住職の補足①|「尼さん」と「得度」、修行の関係
女性の僧侶は、尼僧(にそう)や尼さんと呼ばれます。現在の日本では、女性僧侶がさまざまな宗派で学び、法務や布教などに携わっています。曹洞宗の公式サイトにも、女性の修行者を指導してきた尼僧の対談が紹介されています。
参考:曹洞宗公式サイト「二人の尼僧の対談」(英語)
僧侶としての歩みを始める儀式を「得度(とくど)」と呼びますが、その前後に必要な学習・修行・手続きは宗派ごとに定められています。剃髪や衣だけを整えても、宗派の僧侶資格が得られるわけではありません。
また、得度すること、法務を担う資格を得ること、寺院の住職になることは、同じではありません。得度後にも研修や修行、資格の取得などが必要となる場合があります。「尼さんになれます」という案内を読む際も、何の資格を得られるのか、その後に何を学ぶのかを確かめましょう。
住職の補足②|宗派を知り、信頼できる師と出会う
法華経を大切にする宗派もあれば、念仏や坐禅などを中心に学ぶ宗派もあります。法華経への帰依だけが、女性が僧侶になるための唯一の道というわけではありません。当時の回答にある女性の成仏に関する説明も、すべての宗派に共通する説明としては扱えません。
「どこなら早く資格が取れるか」だけでなく、どの教えを学び、どのような生活や実践を続けたいのかを考えてみてください。身近なお寺にご縁があれば、まず率直にお話ししてよいでしょう。女性の僧侶から経験を聞ける機会があるか尋ねることも、具体的なイメージにつながります。
指導する僧侶である師僧(しそう)や、所属する寺院との関係が必要になる宗派もあります。相談したお寺で受け入れられない場合でも、その宗派の窓口や別の相談先を紹介していただけるか確認してみましょう。
住職の補足③|出家・得度までの進め方
① 教えに触れ、動機を言葉にする
仏教を深く学びたい、人の支えになりたい、修行を中心に暮らしたいなど、ご自身の思いを整理します。最初から立派な答えを用意する必要はありません。
② 寺院や宗派の窓口に相談する
女性の得度の相談を受け付けているか、師僧や所属寺院が必要か、どの研修・修行が必要かを確認します。年齢、仕事、家庭の事情なども、無理なく続けられる道を考えるためにお伝えください。
③ 必要な準備と手続きを確認する
学習、儀礼の習得、書類、費用、日程などは受け入れ先の案内に従います。例えば浄土真宗本願寺派の得度式規程には、得度考査・得度習礼や、所属寺院の住職の承認を伴う手続きが定められています。これは同派の例であり、他宗派にそのまま当てはまるものではありません。
参考:浄土真宗本願寺派「得度式規程」
④ 得度後の学びと暮らしまで計画する
修行先、指導を受ける方法、法務に必要な資格、仕事との両立などを確認します。得度したら自動的に寺院の仕事や収入が用意される、というわけではありません。
家族や友人との縁を、すべて断つ必要がありますか?
「出家するなら、友人・親戚との付き合いをすべてなくす」という条件を、仏教全体の共通ルールと考える必要はありません。修行中に外出や連絡が制限されることと、人間関係を永続的に断つことは別の話です。
一方で、修行に入る期間の過ごし方や、結婚・家庭生活・仕事との関わりには、宗派や修行道場ごとの方針があります。家族の世話や仕事の引き継ぎを含め、現実の暮らしをどう整えるか、受け入れ先とよく話し合いましょう。親族の行事への参加や他宗教との関わりも、一律に判断せず確認してください。
信仰のために何を大切にし、何を変えるのかは、十分に説明を聞いて、ご自身が納得して選ぶことです。相談の段階で、退職や転居、人間関係の整理まで急いで決める必要はありません。
費用・期間・剃髪など、相談前にまとめておきたい質問
・年齢などの受け入れ条件と、必要な書類は何か
・得度前後の学習・修行はどこで行い、通学・宿泊はどれくらい必要か
・剃髪や服装について、儀式時と日常でどのような決まりがあるか
・結婚、育児、介護、仕事との両立は可能か
・健康面で配慮が必要なときは、どこに相談できるか
・研修費、衣、交通・宿泊、修行期間中の生活費など、何を準備するか
・得られる資格と、その後に必要な修行・研修は何か
必要な期間や費用を、女性だから一律に何年・いくらと示すことはできません。希望する道と受け入れ先によって変わるため、最新の募集要項や担当者の説明を確認しましょう。
まだ出家を決めていなくても、学び始められます
法話を聞く、仏教講座に通う、写経や坐禅・僧入門・本寿院尼カレッジを体験するなど、僧侶にならずに始められる学びもあります。まずは、気軽に近くのお寺で体験されてみては如何でしょうか?体験修行や講座修了が、そのまま正式な得度や僧侶資格になるとは限りません。
例えば東京仏教学院のFAQでも、お寺とのつながりがない人の学びを案内する一方、入学・卒業が必ず得度につながるわけではないと説明しています。学ぶことと資格の取得を分けて確認すると安心です。
参考:東京仏教学院「よくある質問」
お寺ネット住職から|急がず、続けられる一歩を
「尼さんになりたい」というお気持ちの奥には、さまざまな願いや問いがあることでしょう。その思いを大切にしながら、まずはお寺で話を聞いてみてください。わからないことを尋ねるところから、学びは始まります。
僧侶になることは、肩書きを得て終わるものではありません。仏教を学び、自分を見つめ、人との関わりの中で実践を重ねていく歩みです。ご自身の生活と向き合いながら、信頼できる師と相談し、納得できる道を選んでいただければと存じます。合掌。
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出典・編集について
出典:お寺ネット過去相談「尼さんになるには?」No.237(2008年2月19日)および回答No.244。相談文を読みやすく整え、当時の回答は要約し、住職の補足を追加しました。当時の回答と今回の補足は区別しています。制度の参考資料は本文中の公式案内をご覧ください。掲載先での受け入れや得度を保証するものではありません。画像は相談の趣旨を表すイラストで、実在の相談者・僧侶や特定の得度式を描いたものではありません。

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