家の宗教は仏教ではないけれど、お寺に親しみ、仏さまの教えを学びたい。そうした思いを、お寺に相談することは失礼ではありません。今回のご相談では、「授戒を受けること」「生前に戒名を授かること」「僧侶を目指して得度すること」を分けて考えると、希望を伝えやすくなります。
原題:受戒について。
相談者:りゅうちゃんさん/2008年6月10日16:32/No.748
本記事は当時の相談と返信を要約・整理し、お寺ネット住職としての解説を加えたものです。引用全文ではありません。現在の案内の確認日:2026年10月28日。
ご相談:家が仏教でなくても、生前戒名を授かれますか
幼い頃から仏教に興味があり、大学生になった今もお寺参りが好きです。家は仏教ではありませんが、高野山真言宗のお寺で戒名を授かりたいと思っています。手順やお布施などが分からないので教えてほしい、というご相談でした。その後、相談者は希望しているのが「生前戒名」であると補足しています。
当時の返信で、何が確認されたのでしょうか
| 投稿者・日時・番号 | やり取りの要旨 |
|---|---|
| 勝運寺山主/6月13日06:05/No.757 | 高野山大師教会での授戒を案内。 |
| 巳朱/6月13日23:12/No.762 | 大師教会の十善戒を授かる儀式と、生前戒名を授かる相談は別ではないかと指摘。 |
| りゅうちゃん/6月14日01:09/No.763 | 希望は生前戒名であると確認。 |
| 勝運寺山主/6月14日08:15/No.765 | 自身の寺で生前戒名を授ける際に授戒を行った経験と、得度との関係を説明。 |
| りゅうちゃん/6月14日08:28/No.766 | 家が仏教ではなくても授かれるかを再質問。 |
| 勝運寺山主/6月14日21:17/No.768 | 志や師僧との関係、時間・費用に触れ、寺院への相談を促す趣旨の回答。 |
※上記はすべて2008年の投稿です。当時の返信には、生前戒名を得度と同一視する説明や、寺への貢献を条件とする説明があります。これらを、現在の高野山真言宗の全寺院に共通する制度・条件として読むことはできません。以下で整理します。
住職からの加筆:授戒・生前戒名・得度の違い
| 言葉 | 相談の目的 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 授戒(受戒) | 仏教の戒めを授かり、日々の生き方を学ぶ。授ける側からは「授戒」、受ける側からは「受戒」と表します。 | 高野山大師教会の授戒体験を、生前戒名の授与申込みと同じものと考えないようにします。 |
| 生前戒名 | 生きている間に仏弟子としての戒名を授かることを相談する。 | 授与の可否、必要な学びや儀礼、寺院との関係は、相談先で確認します。僧侶資格の取得とは別の相談です。 |
| 僧侶になるための得度 | 師僧のもとで僧侶として歩み始める。 | 得度だけで、すべての修行や資格取得が完了するわけではありません。 |
高野山大学の「僧侶をめざす」公式案内でも、得度の後に受戒・加行・灌頂という修行の段階が示されています。「生前戒名がほしい」という希望から、直ちに僧侶を目指す手続きへ進む必要がある、と決めつけないことが大切です。
戒名を授かる意味は、名前だけを受け取ることに尽きません。どのような教えを大切にして生きたいか、お寺とどのようなご縁を結びたいかを、住職と話し合う機会にしてください。
家の宗教が違うときは、希望を率直に伝えましょう
ご家族の宗教が違うからといって、仏教を学びたいというお気持ちまで遠慮する必要はありません。ただし、実際に生前戒名を授けられるか、どのような手順を踏むかは、希望するお寺の判断と説明を受けて決めます。
ご自身の学びと、ご家族の信仰は丁寧に分けて考えましょう。ご自身がお寺とのご縁を結ぶことを、ご家族全員の改宗や、家のお墓・葬儀の変更と一緒に決める必要はありません。学生であること、無理のない予算で学びたいことも、初めに伝えて構いません。

高野山のお寺へ相談するときの手順
まずは「在家のままで生前戒名を希望しています」と伝えましょう。「受戒したい」だけでは、授戒体験への参加なのか、僧侶を目指すのかが伝わりにくい場合があります。
| 順序 | 伝えること・確認すること |
|---|---|
| 1.目的を伝える | 家の宗教は仏教ではないこと、仏教に関心を持った経緯、僧侶になる希望の有無。 |
| 2.受け入れを相談する | 在家の生前戒名の相談に応じているか。面談、法話、授戒などの手順や日程。 |
| 3.費用を確認する | お布施の目安、別に必要な費用、交通費・宿泊費を含めて無理がないか。 |
| 4.今後の関係を確認する | 入檀や会への加入が必要か。継続的な費用や行事参加の扱い。 |
| 5.授与後のことを確認する | 戒名の書面の受け取りと保管、将来別のお寺に葬儀を相談する場合に伝える内容。 |
相談の言い方の例:
「私は学生で、家の宗教は仏教ではありませんが、真言宗の教えを学びたいと思っています。僧侶になることではなく、在家のまま生前戒名を授かることについて相談できますか。必要な学びや儀式、お布施、今後のお寺とのお付き合いを教えていただけますでしょうか。」
お布施について尋ねることは失礼ではありません。「多額の寄付をすれば必ず授かれる」「長年の大きな貢献がなければ絶対に授かれない」という一律の条件は、この相談の過去の返信だけでは判断できません。費用の用意を急ぐ前に、希望するお寺の説明を聞いてください。
大師教会の授戒体験を希望する場合
高野山金剛峯寺の公式「高野山で体験」授戒案内では、大師教会・授戒堂で菩薩十善戒を授かる体験が案内されています。仏教の教えに触れる入口として、生前戒名の相談とは区別して検討できます。
2026年10月28日の公式掲載では、入壇料は1人1,000円、実施時間は9時・10時・11時・13時・14時・15時、受付は各回10分前までです。これは授戒体験の案内で、生前戒名の費用ではありません。行事や受付状況などを含め、参拝前に公式案内で最新情報をご確認ください。
よくある疑問
授戒体験を受けたら、その日に戒名もいただけますか?
授戒体験の申込みを、そのまま生前戒名の授与申込みと考えないでください。戒名を希望することを別に伝え、授与の可否や手順を確認しましょう。
戒名を授かるには、仕事や学校をやめる必要がありますか?
在家の生前戒名の相談と、僧侶として修行する進路の相談は分けます。相談する前から退学・退職などを決める必要はありません。
まだ迷っていても、お寺に行ってよいですか?
もちろん、まず法話を聞き、参拝を重ねながら学ぶ道もあります。戒名を急いで決めるより、ご自身が納得して教えと向き合えることを大切にしましょう。
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総本山金剛峯寺:高野山で体験(授戒)
総本山金剛峯寺:お問い合わせ
高野山大学:僧侶をめざす
お寺ネット住職より――仏さまの教えに心を寄せる歩みは、ご自身の暮らしの中から始められます。分からないことをそのままにせず、「何を願い、どのように学びたいか」を言葉にして、信頼できるお寺とのご縁を育ててください。合掌。

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