お寺ネット 仏事相談
相談番号:No.299
投稿者:桜 さん
投稿日:2008年3月1日
相談タイトル:先祖供養
結論|「先祖の念が原因」と決めつける必要はありません
霊能者などから「ご先祖の念を受けている」「先祖供養が足りない」と言われると、不安になるものです。
しかし、仕事が安定しないことや、怒りやすいことなどを「先祖の念が原因」と決めつける必要はありません。
また、ご先祖さまは、供養しなかったからといって子孫を苦しめたり、祟ったりする存在として恐れる必要もないと私は考えます。
先祖供養とは、
「悪いことが起きないようにするため」ではなく、今ある命への感謝として手を合わせること。
お寺へ行くと心が落ち着くのであれば、その時間を大切になさってください。
ご相談内容
ある霊能者の方から、
「旦那さんは長男ではないけれど、ご先祖の念のようなものを一番強く受けている」
と言われました。
その影響で、仕事や気持ちが安定しないのだと言われました。
確かに主人は怒りやすいところがあり、ひどく怒ったときには、元の状態に戻るまで3か月くらいかかることがあります。
ただ、普段はとても優しい人です。
その方から「毎月お寺へ行って手を合わせるように」と言われ、それから毎月お寺へお参りしています。
私自身、お寺へ行って手を合わせると、とても心が落ち着きます。
実際に、ご先祖さまの念が子孫へ影響するということはあるのでしょうか?
お坊さんからの回答
回答者:一僧侶
回答番号:No.303
投稿日:2008年3月2日
当時の回答では、「先祖の念」があるかどうかを気にするよりも、ご先祖さまへの供養を大切にするよう勧めています。
そして、
自分自身の身体を大切にすることも供養になる
と説いています。
ご先祖さまは子孫が健やかに暮らしていくことを願っている。
日頃からご先祖さまを忘れず、手を合わせ、感謝することを大切にしましょう。
お寺参りを続け、ご自身の日々の生活も大切にしてください、という回答でした。
お寺ネットからの回答
この相談は2008年のものですが、現在でも、
「悪いことが続くのは先祖供養が足りないからでしょうか?」
「先祖の因縁があると言われました」
「きちんと供養しないと祟られるのでしょうか?」
という相談を受けることがあります。
私は、こうした相談を受けたとき、まず、
ご先祖さまを怖い存在にしないでください
とお話しします。
「先祖の念を受けている」と言われても怖がらないでください
今回の相談では、霊能者の方から、
「ご主人は先祖の念の影響を受けている」
と言われたことが不安の始まりになっています。
しかし、ご主人の仕事や気持ちの状態について、その原因が「先祖の念」であると確認することはできません。
ですから、
「先祖のせいで人生がうまくいかない」
と考えてしまわないことが大切です。
生活上の問題には、それぞれ現実的な理由があるかもしれません。
その問題と先祖供養とは、分けて考えてよいのです。
先祖供養が足りないと悪いことが起きる?
私はそのようには考えません。
「供養しないと先祖が怒る」
「墓参りをしないと祟られる」
「供養が足りないから病気になる」
このように恐怖と供養を結びつけてしまうと、供養そのものが苦しいものになってしまいます。
先祖供養は、ご先祖さまを恐れるためのものではありません。
私たちの命は、突然ここに現れたものではありません。
父母がいて、その父母にも父母がいる。
そうして数えきれない命がつながり、今の私があります。
その命のつながりに、
「ありがとうございます」
と手を合わせる。
私は、それが先祖供養の基本だと思っています。
お寺へ行くと落ち着く。それも大切なことです
桜さんは、
「自分もお寺へ行くとすごく落ち着きます」
と書いておられます。
私は、この部分を大切にしていただきたいと思います。
毎月お寺へ行くことを、
「行かないと悪いことが起きるから」
と考えるのではなく、
「ここへ来ると、自分の心を静かにすることができる」
という時間にしてみてはいかがでしょう。
本堂で手を合わせる。
お線香を供える。
ご先祖さまを思い出す。
そして、自分自身の生活を振り返る。
それだけでも、お寺参りには大きな意味があります。
先祖供養は「お願い」だけではありません
仏壇やお墓の前に立つと、
「家族を守ってください」
「仕事がうまくいきますように」
とお願いしたくなることもあるでしょう。
もちろん、そうした祈りがあってもよいと思います。
しかし、その前に、
「今日まで命をつないでくださって、ありがとうございます」
と感謝してみてください。
先祖供養は、ご先祖さまに何かをしてもらうためだけのものではありません。
ご先祖さまとのご縁を通して、自分がどのように生きるのかを見つめる時間でもあります。
「供養しないと不幸になる」と言われたら注意してください
先祖供養について不安をあおり、
「このままでは家族に不幸が起きる」
「高額な供養をしなければならない」
などと言われた場合には、その場ですぐ判断する必要はありません。
不安になったときほど、一人で決めず、普段からお付き合いのある寺院など、信頼できる方に相談してください。
供養は恐怖によって強制されるものではありません。
ご先祖さまが喜ぶ供養とは
毎月必ず特別な法要をしなければならないわけではありません。
お墓参りをする。
仏壇に手を合わせる。
お花を供える。
お寺へお参りする。
そして何より、
自分自身と家族の毎日の暮らしを大切にする。
それも先祖供養につながっていると私は考えています。
当時のお坊さんの回答に、
「自分の身体を大切にすることも供養になります」
という言葉があります。
これは今でも大切にしたい考え方です。
ご先祖さまを恐れるのではなく、
「いただいた命を大切に生きています」
と報告できるような毎日を送る。
それこそ、ご先祖さまへの何よりの供養ではないでしょうか。
合掌
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※この相談は2008年当時に「お寺ネット」へ寄せられた仏事相談をもとに、現在の住職としての見解を加えて再編集しています。当時の回答には「供養不足をご先祖さまが知らせる」という趣旨の表現がありますが、現在の記事では、それを客観的な事実として断定せず、ご先祖さまを恐れず感謝して手を合わせるという観点から整理しています。

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