実家の仏壇を自宅で預かっても大丈夫?

実家の仏壇を自宅で預かっても大丈夫?仏壇の移動・引き継ぎを住職が解説
目次

仏壇の引き継ぎと移動について

お寺ネット 仏事相談

相談番号:No.361
投稿者:ぽろろ さん
投稿日:2008年3月15日
相談タイトル:仏壇について


ご相談内容

よろしくお願いします。

主人の実家が経済的な理由から現在の住まいを処分し、引っ越すことになりました。

新しい住まいは狭く、仏壇を置くスペースがないため、我が家で仏壇を預かってほしいと言われています。

我が家は、主人と私、娘の三人家族です。昨年新築した家には仏間があります。

ただ、「人から仏壇をもらうのはよくない」と聞いたこともあり、少し心配しています。

また、主人の実家は関西、我が家は北海道です。

ご先祖さまにとって縁もゆかりもない遠い土地へ、仏壇だけを移してもよいものなのかも気になっています。

主人の兄は、

「自分がお墓をみるから、お前は仏壇をみろ。場所もあるんだし」

という考えです。

しかし、「置く場所があるから」というだけの理由で仏壇を動かしてしまうのも、少し乱暴なように感じています。

実家の仏壇を我が家へ移してもよいのでしょうか。

アドバイスをお願いいたします。


勝運寺山主さんからの回答

回答者:勝運寺山主
回答番号:No.366
投稿日:2008年3月17日

まず、仏壇の大きさを確認してください。

襖一枚分ほどの大きな仏壇なのか、みかん箱二個分ほどのコンパクトな仏壇なのかによっても対応が変わってきます。

また、仏壇が移動できるものなのか、分割できるものなのかも確認してください。

コンパクトな仏壇や分割可能な仏壇であれば、ご実家から送っていただき、仏さまやご先祖さまを引き続きお祀りされてよいでしょう。

もし仏壇そのものの移動が難しいのであれば、ご本尊やお位牌などを引き取り、仏壇本体については整理するという方法もあります。

今回の場合、まったく他人の仏壇を譲り受けるわけではありません。

ご家族の仏壇を受け継ぐものですから、心配される必要はないでしょう。


お寺ネット住職からの回答

今回のご相談で一番心配されているのは、

「実家の仏壇を自分の家へ持ってきても、本当に大丈夫なのだろうか?」

ということだと思います。

結論から申し上げれば、

ご主人のご実家の仏壇を、ご家族が引き継いでお祀りすることを過度に心配する必要はありません。

「仏壇を人からもらうとよくない」は本当でしょうか?

「人の仏壇をもらってはいけない」

「他人の仏壇を家に入れるとよくない」

という話を聞いたことがある方もおられるでしょう。

しかし今回の場合は、知らない方の仏壇を譲り受けるわけではありません。

ご主人の家で代々手を合わせてきた仏壇を、その家族が引き継ぐ

ということです。

ですから、「仏壇をもらう」というより、

「家族の祈りの場所を受け継ぐ」

と考えていただくとよいでしょう。

関西から北海道へ移しても大丈夫?

これも心配する必要はありません。

ご先祖さまの供養は、土地の距離によって決まるものではありません。

関西でお祀りしていた仏壇を北海道へ移したからといって、ご先祖さまとのご縁がなくなるわけではありません。

大切なのは、

どこに仏壇があるかよりも、そこで誰が手を合わせるのか

ということです。

北海道のご自宅で、

「おはようございます」

「行ってきます」

「今日もありがとうございました」

と家族が手を合わせる。

そこが新しい祈りの場所になっていきます。

お兄さんがお墓、ご主人が仏壇を守ってもよい?

問題ありません。

「お墓を守る人と仏壇を守る人は、必ず同じ人でなければならない」という一律の決まりがあるわけではありません。

兄弟それぞれの住宅事情や生活環境があります。

お兄さまがお墓を守り、ご主人の家庭が仏壇をお祀りするという形も考えられます。

ただ、

「場所があるから、そっちで仏壇をみてくれ」

だけで決めるのではなく、一度ご家族で、

これから誰が、どのようにご先祖さまを供養していくのか

を話し合っておくことをおすすめします。

将来、お墓や仏壇を誰が引き継ぐのかという問題もありますので、兄弟間で認識を合わせておくと安心です。

大きな仏壇は無理に運ばなくてもよいでしょう

昔ながらの大きな仏壇の場合、関西から北海道まで運ぶとなると大変です。

運搬費用もかかりますし、仏壇そのものを傷める可能性もあります。

また、ご自宅の仏間の大きさに合わないこともあります。

その場合は、

仏壇そのものを必ず持ってこなければならない、と考える必要はありません。

ご本尊やお位牌を引き継ぎ、ご自宅に合ったコンパクトな仏壇へお祀りする方法もあります。

古い仏壇を整理する場合には、菩提寺があれば事前に相談してください。

寺院や宗派によっては、閉眼供養などを行ってから仏壇を整理する場合があります。

仏壇を移すときに「魂抜き」「魂入れ」は必要?

よく、

「仏壇を動かす前に魂抜きをしなければいけませんか?」

という質問があります。

これについては、宗派や寺院によって考え方や呼び方が異なります。

「閉眼供養」「遷座法要」「撥遣」などとしてお勤めする場合もあります。

単純な部屋の移動と、遠方への引っ越しや仏壇の買い替えとでは対応が異なることもあります。

ですから、菩提寺がある場合には、

「関西から北海道へ仏壇を移したいのですが、どのようにすればよいでしょうか」

と相談するのが一番安心です。

仏壇は「ご先祖さまを閉じ込めておく箱」ではありません

ここは、とても大切なところです。

仏壇そのものがご先祖さまなのではありません。

仏壇は、本尊をお祀りし、亡き方やご先祖さまを偲び、家族が手を合わせるための場所です。

ですから、

「縁もゆかりもない北海道へ持ってきたら、ご先祖さまが困るのではないか」

と恐れる必要はありません。

むしろ、

北海道にも自分たちを想って手を合わせてくれる家族がいる。

そのように考えてみてはいかがでしょうか。

仏壇を受け継ぐとは、祈りを受け継ぐこと

今回のご相談では、ご自宅に仏間があるとのことです。

単に、

「仏間が空いているから仏壇を置く」

というのではなく、

「これからこの場所で、家族がご先祖さまに手を合わせていく」

と考えてみてください。

これまで関西で手を合わせてきた。

これからは北海道でも手を合わせていく。

場所は変わっても、ご先祖さまを大切に想う心は変わりません。

仏壇を受け継ぐということは、家具を一つ引き取ることではありません。

家族から家族へ「祈り」を受け継いでいくことです。

それが何より大切ではないでしょうか。

合掌


円宗院の人形・遺品・仏壇供養
円宗院の人形・遺品・仏壇供養

この相談のポイント

1.実家の仏壇を家族が引き継いでお祀りしても問題ありません。

2.関西から北海道など、遠方へ仏壇を移すこと自体を恐れる必要はありません。

3.「人から仏壇をもらう」のではなく、「家族の仏壇を受け継ぐ」と考えるとよいでしょう。

4.お墓を守る人と仏壇を守る人が別々でも構いません。

5.大きな仏壇の場合は、無理に運ばず、ご本尊やお位牌を引き継いで仏壇を新しくする方法もあります。

6.仏壇の移動や閉眼供養については、宗派や寺院によって作法が異なるため菩提寺へ確認しましょう。

7.一番大切なのは、仏壇の場所ではなく、これからも家族が手を合わせていくことです。


同じことで悩んでいる方へ

「親が高齢になり、実家の仏壇をどうするか困っている」

「実家を売却するので仏壇を引き取ってほしいと言われた」

「長男ではないけれど仏壇を引き継いでもよい?」

「遠方へ仏壇を移しても大丈夫?」

「仏壇が大きすぎて自宅に置けない」

このような相談は、これからさらに増えてくると思います。

家族の暮らし方が変われば、仏壇の形も変わっていきます。

大きな仏壇をそのまま残すことだけが、ご先祖さまを大切にすることではありません。

住まいに合った形に変えても、手を合わせる心を次の世代へ残していく。

それも立派な仏壇の継承です。


※この相談は2008年当時に「お寺ネット」へ寄せられた仏事相談をもとに、読みやすく整理し、現在の住職としての見解を加筆したものです。仏壇の移動、閉眼供養、ご本尊・位牌の扱いなどは、宗派・地域・寺院によって異なります。

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