過去帖は自分で書いてもよいのでしょうか?

過去帖は自分で書いても大丈夫?費用や繰り出し位牌からの変更を住職が解説
目次

費用や「阿毘跋致」「不退位」の意味について

お寺ネット 仏事相談

相談番号:No.374
投稿者:しおかぜ さん
投稿日:2008年3月18日
相談タイトル:過去帖について


突然で申し訳ございません。

過去帖のことでお伺いしたいことがあります。

我が家では、繰り出し位牌の枚数がかなり増えてきたため、今回、仏壇を新調する機会に「過去帖」へまとめようかと考えています。

祖父は、

「お寺に頼むと高くつくから、自分で書く」

と言っています。

過去帖は、自分で書いてもよいものなのでしょうか。

私は、できればお寺にお願いした方がよいのではないかと思っているのですが、祖父は「筆耕が高い、高い」と言って、なかなか取り合ってくれません。

お寺にお願いすると、本当にそれほど高額になるのでしょうか。

「一文字いくら」といった相場のようなものがあるのでしょうか。

大変不躾な質問ですが、よろしくお願いいたします。


浄徳寺隆胤さんからの回答

こんにちは。

なるべくなら、菩提寺のご住職に書いていただくのがよろしいでしょう。

ただし、金銭的な事情もあると思います。

まずは、菩提寺へ電話でも構いませんので、一度たずねてみてはいかがでしょうか。

お寺によっては「お気持ち」で受けている場合もあれば、あらかじめ金額を設定しているところもあります。

合掌


相談者からの追加質問

相談番号:No.379
投稿者:しおかぜ さん
投稿日:2008年3月19日

浄徳寺隆胤さま、早々のお返事ありがとうございます。

おっしゃるように、一度、菩提寺の方へ私からそれとなく尋ねてみたいと思います。

ありがとうございました。

そして、この場を借りてもう一つ伺いたいことがあります。

古い繰り出し位牌の中に書かれている法名の最後に、

「阿毘跋致」

あるいは

「不退位」

という文言があります。

これらは、それぞれどのような意味なのでしょうか。

また、これらも法名の一部なのでしょうか。

不勉強で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。


浄徳寺隆胤さんからの回答

「阿毘跋致」「不退位」とは、その方が得られた悟りや功徳、地位を失うことがないように、という意味を込めて与えられた号です。

ご先祖さまの信心深さがうかがわれます。合掌


お寺ネットのお坊さんからの回答

このご相談には、二つの大切なポイントがあります。

ひとつは、過去帖を自分で書いてもよいのかということ。

もうひとつは、古い法名に付いている「阿毘跋致」「不退位」という言葉の意味についてです。

過去帖は自分で書いてもよいのでしょうか?

結論から言えば、

必ずしも「僧侶でなければ書いてはいけない」というものではありません。

ただし、過去帖には、ご先祖さまの法名・戒名、俗名、命日、年齢など、大切な記録を書き残します。

そのため、

  • 法名や戒名の文字を間違えない
  • 命日を正確に確認する
  • 旧字体や異体字に注意する
  • 宗派や寺院ごとの書き方を確認する

といった点が重要です。

菩提寺のある場合は

ご家族で書くこと自体が悪いわけではありませんが、古い位牌から過去帖へ移す場合には、誤記を防ぐ意味でも、一度、菩提寺へ確認してから書くことをおすすめします。

今度も、菩提寺様にご供養いただくのに、勝手に過去帳が出来ていたのでは、菩提寺さんがびっくりされます。

お寺によっては、檀家さんの戒名や没年月日をお寺でも過去帳に記して供養されているお寺もございます。住職の知らないまま霊数を書いて増やしていくと、お寺の過去帳と合わなくなってしまします。

菩提寺のない場合は

過去帳を書いてくださるお寺に依頼する場合 

お寺に過去帳を書いてもらうと高いのでしょうか?

これは、全国一律の料金があるわけではありません。

「一文字何円」という共通の相場が決まっているわけでもありません。

寺院によって、

  • お布施としてお気持ちで受ける
  • 一霊ごとに金額を定める
  • 一冊単位でお願いする
  • 筆耕料として別に定める

など、対応はさまざまです。

ですので、

「高いに違いない」と思い込まず、まずは菩提寺に直接たずねる

のが一番です。

「過去帖にまとめたいのですが、お願いするとどのくらいになりますか」

と率直に聞いて構いません。

昔は「お寺にお金のことを聞くのは失礼では」と遠慮される方も多くおられましたが、今は事前に確認した方が、お互いに安心です。

全国のお寺で書いてくださる事は出来ますが、本寿院の場合は、1万円とホームページで明記されています

繰り出し位牌から過去帖へ替えてもよいのでしょうか?

これも、宗派や寺院の考え方によります。

繰り出し位牌は、一つの位牌の中に何枚もの札板を納めて、ご先祖さまを順番にお祀りするものです。

一方、過去帖は、ご先祖さまのお名前や命日を記録しておく帳面です。

どちらも、ご先祖さまを忘れずにお祀りしていくための大切な形です。

ですから、仏壇を新しくする機会に、

繰り出し位牌から過去帖へ整理する

ということ自体は珍しいことではありません。

ただし、位牌を整理する場合には、菩提寺へ相談し、必要に応じて閉眼供養などについても確認するとよいでしょう。

「阿毘跋致」とは何ですか?

「阿毘跋致」は、仏教語で、一般に

悟りの道から退かないこと

という意味で用いられる言葉です。

「不退転」と近い意味で、

一度得た仏道の境地から後戻りしない、

という意味を表します。

「不退位」とは何ですか?

「不退位」も、

仏道の修行や悟りにおいて、もはや後退しない位

という意味を表す仏教語です。

古い位牌や法名の中には、戒名・法名だけではなく、こうした仏教的な称号や願いを込めた語が添えられている場合があります。

ただし、その表記が法名そのものに含まれるのか、別の尊称・位号として付されているのかは、宗派や時代、寺院によって異なります。

そのため、

過去帖へ書き写す際には、勝手に省略せず、まずは元の表記をそのまま記録し、菩提寺へ確認する

のが安心です。

古い位牌は「家の歴史」でもあります

古い位牌を見ていると、

今ではあまり見かけない文字や称号が書かれていることがあります。

それは単に難しい言葉が並んでいるのではなく、

その時代、その土地、そのお寺、そしてご先祖さまの信仰の歩みが残されている

とも言えます。

ですから、過去帖へ整理するときには、

「古いから分からないので省く」

のではなく、

できるだけ原文を残しておくことをおすすめします。

もし分からない言葉があれば、その都度、菩提寺へたずねてみてください。

それもまた、ご先祖さまを知る一つの機会になります。

合掌


この相談のポイント

1.過去帖は家族が自分で書くこともできます。

2.ただし、法名・戒名・命日などの誤記を防ぐため、菩提寺への確認がおすすめです。

3.過去帖の筆耕料には全国共通の相場はありません。

4.寺院によって「お気持ち」「一霊ごと」「一冊ごと」など、対応は異なります。

5.「阿毘跋致」「不退位」は、仏道から退かないことを意味する仏教的な語です。

6.古い位牌の表記は、勝手に省略せず、そのまま記録して寺院へ確認すると安心です。

7.繰り出し位牌から過去帖へ整理する場合も、菩提寺へ一度相談するとよいでしょう。


同じことで悩んでいる方へ

「過去帖は自分で書いてもよいのか」

「古い位牌の文字が読めない」

「戒名や法名の意味が分からない」

「位牌が増えすぎて仏壇に入らない」

といったご相談は、決して珍しくありません。

ご先祖さまの記録を整理することは、単なる片付けではありません。

これまで続いてきた家族の歩みを、次の世代へ伝えていくことでもあります。

分からない文字や昔の仏教用語がある場合には、無理に判断せず、お寺へ相談してください。

※この相談は2008年当時に「お寺ネット」へ寄せられた仏事相談をもとに、読みやすく整理し、現在の住職としての見解を加筆したものです。過去帖・位牌の扱いや表記方法は、宗派・地域・寺院によって異なる場合があります。

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