「ご縁のあるお寺がいくつかあるけれど、それぞれで厄除け祈祷をお願いしてもよいのでしょうか」。一つのお寺に絞らなければ失礼なのでは、と迷う方もいらっしゃいます。
複数のお寺で祈祷を受けることを、一律にいけないと考える必要はありません。ただし、宗派や寺院によって考え方や作法は異なります。ご縁を大切にしながら、ご自身が納得できる無理のないお参りを選びましょう。
ご相談:いろいろなお寺で厄除け祈祷を受けてもよいですか
信玄さん/2008年1月20日 0:14/No.64
原題「厄除けの祈祷」
今年は厄年なので、厄除けのご祈祷を受けたいと思っています。いろいろなお寺とご縁があるため、それぞれのお寺で祈祷をお願いしたいのですが、そのようにしてもよいのでしょうか。
当時寄せられた二つの回答
浄徳寺隆胤さん/2008年1月22日 15:04/No.71
住職によって考え方は異なるとしたうえで、心の安らぎを求めるのであれば、他のお寺でも祈祷を受け、多くの仏さまとご縁を結ぶのもよいのではないかと答えています。ほかの僧侶の意見も聞き、ご本人が判断することを勧めています。
一僧侶さん/2008年1月31日 8:26/No.113
ご縁のあるお寺で祈祷を受けることを肯定し、厄年を自分自身を見つめ直す時期として受け止め、祈祷だけに頼らず日々の精進や先祖への供養も大切にするよう勧めています。
※以上は当時の回答の要約です。原回答の「厄年は運気の低迷の底に当たる」という説明は、回答者の信仰上の見方です。厄年の人に必ず災難が起こるという事実を示すものではありません。以下は現在の読者へ向けた補足です。
住職からの補足:お参りの数より、ご縁とお気持ちを大切に
日頃からお世話になっているお寺や、心を寄せているお寺を訪ね、仏さまに手を合わせたい。そのお気持ちは大切にしてよいと思います。「別のお寺へ行ったら仏さまが争うのでは」と、必要以上に恐れなくても大丈夫です。
一方で、すべての宗派が厄除け祈祷を同じように行うわけではありません。所属するお寺の教えを大切にしている方は、「別のお寺でも厄除けをお願いしたいのですが」と、率直に相談するとよいでしょう。
たくさん受ければ必ず安心できる、祈祷料を多く納めれば災いを避けられる、と約束することはできません。一か所で丁寧にお参りすることも、いくつかのお寺とのご縁を大切にすることも、ご自身の体調、時間、家計に無理のない範囲で考えてください。
迷うことは、お寺でそのまま相談してみましょう

「ほかのお寺でも祈祷を受ける予定です。こちらでお願いしてもよいでしょうか」と尋ねれば十分です。ご祈祷の種類、申し込み方法、祈祷料、お札をいただいた後のことなど、分からないことを先に聞いておくと落ち着いて参拝できます。
厄年を、暮らしを整える節目として
厄年や前厄・後厄は、昔から伝えられてきた年齢にまつわる習俗です。「三年間ずっと悪いことが続く」と決めつける必要はありません。年齢の数え方や対象年齢の案内も、参拝先で確認しましょう。
祈祷を、これからの暮らしを丁寧にするきっかけにしてみてはいかがでしょうか。休息を取る、無理な予定を減らす、交通安全を心がける、周りの人に感謝を伝える。身近な行いを一つずつ大切にすることも、日々の精進につながります。
何か困ったことが起きても、「信心が足りなかった」「厄除けを一度しか受けなかったからだ」と、ご自身やご家族を責めないでください。当時の回答にある先祖供養の勧めも、災いを避けるための義務として受け止める必要はありません。
複数のお札・お守りをいただいたときは
お札やお守りの祀り方、置く場所、返納の方法は、授与したお寺の案内に従うのが安心です。ほかのお寺のお札と一緒に祀る場合や、ご自宅の仏壇に納めたい場合も、具体的に聞いてみましょう。
たとえば成田山新勝寺の公式Q&Aでは、御護摩札は清浄な場所に祀ることや、おおむね一年を目安に新しくすること、古いお札は受けたところに納めるのが通例であることを案内しています。これは同寺の案内であり、すべてのお寺に共通する細かな作法ではありません。
遠方で返納が難しいときは、郵送の可否などを授与元へ確認してください。他寺のお札を受け入れていない納札所もありますので、置いて帰る前に尋ねましょう。
申し込み前の確認事項
| 確認すること | 尋ね方の例 |
|---|---|
| 複数寺院での祈祷 | ほかのお寺でも受ける予定ですが、お願いできますか。 |
| 日程・予約 | 予約は必要ですか。受付時間と所要時間を教えてください。 |
| 祈祷料 | どのような申し込み方や金額の区分がありますか。 |
| お札の扱い | 自宅での祀り方と、返納するときの方法を教えてください。 |
ご祈祷を受けることが、不安から何度も申し込まなければならない負担になっているなら、その不安自体をお寺に話してみてください。お参りは、ご自身を追い込むためのものではありません。心穏やかに手を合わせられる、ご自身に合った形を大切になさってください。
関連する相談・参考リンク
お寺ネット:仏事相談の記事一覧
お寺ネット:「供養する」という事について
成田山新勝寺:成田山Q&A(御護摩札の祀り方・納め方)
川崎大師:厄除けの申し込みから参拝、お護摩札授与まで
本記事は、2008年のお寺ネット仏事相談(No.64・71・113)をもとに整理し、解説を加えたものです。当時の投稿者による回答と、現在の補足を分けて掲載しています。祈祷の実施内容・受付方法は各寺院の最新案内をご確認ください。

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