お寺で見かける木製や金色の蓮の花と、お店に並ぶ布製の造花。「どちらも自宅の仏壇にお供えしてよいのだろうか」と迷われたのですね。蓮をかたどった「常花」は仏具として用いられるもので、ご家庭の仏壇でも使われます。一方、市販の造花を仏花として使うかは、宗派やお寺の考え方と、ご家庭の事情を踏まえて相談すると安心です。
お寺ネット 仏事相談|相談者:田辺さん|2008年2月13日01:56|No.172「お供えの花」
当時の相談・回答を読みやすく整理し、現在の暮らしに沿った解説を加えています。ご相談原文
ご相談:木製の蓮や、布製の造花をお供えしてもよいですか
仏さまにお供えする花についてお尋ねします。お寺で、木でできた蓮の花の造花のようなものを見かけますが、在家の仏壇でもお供えしてよいのでしょうか。また、市販されている布製の造花をお供えしてもよいのでしょうか。
当時の回答:じゅんさん(No.174)
2008年2月13日14:09の回答では、蓮の形の仏具は「常花」といい、宗派によりますが伝統的な仏壇に備わっている場合もあると説明されています。仏具店で購入してお供えしてよいとしたうえで、日々の仏花はできる限り生花を生けることを勧めています。
高価な花でなくても、庭の花でもよいこと、供える側の心が大切であることも伝えられています。
当時の回答:勝運寺山主さん(No.178)
2008年2月13日15:59の回答では、生きた花を手折ることを殺生につながると考え、常花を用いる寺院があるという見解が述べられています。そのうえで、ご家庭では生花を供えることを勧め、布製の造花では花の状態への注意が薄れ、お世話がおろそかになりやすいのではないかと心配されています。
一輪でも心を込めて供えてみること、どうしても花がなければ無理をせず、丁寧に手を合わせればよいという言葉で結ばれています。
補足:「花を手折ることと殺生」の説明は、当時の回答者の見解として紹介しています。これを常花の唯一の由来や、すべての宗派に共通する教えとすることはできません。また、造花を使う方が必ずお参りをおろそかにする、という意味で受け取る必要もありません。
住職からの加筆:常花と、市販の造花を区別しましょう
常花(じょうか)は、木や金属などで蓮の花・つぼみ・葉をかたどった仏具です。金色だけでなく彩色されたものもあります。実際に仏具店では、木製、真鍮製、アルミ製などが扱われています。参考:はせがわ「常花」。
常花は仏壇を荘厳する、つまり仏さまをお祀りする場を整える仏具として考えられます。見た目が人工の花でも、生花に似せた布製・樹脂製の花束と、役割まで同じとは限りません。「常花を置けば、どの宗派でも日々の仏花が不要になる」とは一律に言えないのです。
常花を用いるか、どこに置くか、生花とどう併用するかは宗派や仏壇の形式で異なります。左右に置く例を見たからといって、そのままご自宅に当てはめず、仏壇の写真をお寺や仏具店に見せて確認するとよいでしょう。
生花をお供えすることには、どのような意味がありますか
花を選び、水を替え、傷んだ花を取り除く。その小さなお世話が、仏壇の前に立ち、仏さまや亡き方を思うきっかけになります。咲いた花が日ごとに姿を変えることから、移り変わるいのちに目を向ける時間にもなるでしょう。
だからこそ、当時のお二人も生花を勧められたのだと思います。ただ、高価な花束や大きな飾り付けを競う必要はありません。ご自宅の仏壇に合う大きさで、無理なくお世話できる花を選んでください。一輪から始めることもできます。
布製の造花を使いたいときは、事情を添えて相談を
暑さで花がすぐ傷む、水替えが難しい、留守が多い、花粉や香りが気になるなど、生花を続けて供えることが負担になる場合もあるでしょう。その事情を無視して「必ず毎日生花を用意しなければ」と、ご自身を追い詰めることはありません。
住職としてお伝えしたいのは、造花を選んだということだけで、ご自身の供養の心まで否定しないでほしいということです。ただし、正式なお勤めや法要の供花については、お寺ごとの作法があります。普段は造花を使いたい、命日には生花を供えたい、といった希望を菩提寺へ伝えてみてください。
「日常のお供えには布製の花を使ってもよいでしょうか。常花とは別に必要なお花がありますか。法要のときはどう準備すればよいですか」と尋ねれば、確認したいことが伝わります。購入前なら、使おうとしている品の写真も役立ちます。
造花も常花も、置いたままにしないことが大切です
造花は枯れませんが、ほこりがたまったり、色があせたりします。定期的に状態を見て、素材に合った方法で手入れをしましょう。汚れや傷みが目立ってきたら、取り替えも考えます。
常花には細い枝や金箔・塗装など、傷みやすい部分があります。強くこすったり、自己判断で水洗いしたりせず、製品の説明や仏具店の案内に従ってください。生花なら花立の水と花の状態を見て、清潔に保ちましょう。
布や樹脂の花、包装材は、ろうそくの炎や線香に近づけないようにします。仏壇を飾るときは、ご本尊を隠さず、お参りやお手入れのしやすい配置を考えてください。
常花を新しく迎える前に確認したいこと
お寺には「うちの宗派では常花を使いますか」「生花と併用するときはどう置きますか」と確認し、仏具店には仏壇の内寸、置く場所、花立との組み合わせを相談しましょう。高さだけでなく、横へ広がる葉や花が扉や他の仏具に当たらないかも大切です。
常花は、すべてのご家庭で新たに買い足さなければならないものではありません。小さな仏壇に無理に詰め込むより、その仏壇に合うお祀りの仕方を教えていただくと安心です。
花を用意できない日も、手を合わせる時間を
花を切らしてしまった日、体調や暮らしの事情で準備できない日があっても、そのために仏壇の前から遠ざかってしまわないでください。まずは静かに合掌し、感謝を伝える時間を持っていただければと思います。
生花、常花、造花には、それぞれ異なる性質があります。形については宗派の作法を尊重しながら、日々気にかけ、整え、手を合わせる。その積み重ねを大切にしていきましょう。合掌
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はせがわ「常花」 ― 材質や形の参考になる仏具店の製品案内です。特定商品の購入を勧める趣旨ではありません。
※2008年の相談No.172、回答No.174・No.178をもとに編集しています。当時の回答と今回の加筆は区別しています。常花や供花の扱いは宗派・寺院によって異なります。ご自宅の仏壇や法要での具体的な作法は、菩提寺へご確認ください。

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