本当の夫婦とは?悩みや不安を打ち明けるのは迷惑なのでしょうか|お寺ネット人生相談

本当の夫婦とは何か、悩みや不安を打ち明けることについて考えるお寺ネット人生相談

お寺ネット 人生相談

相談番号:No.1027
相談者:こうさん
相談日:2008年1月25日
相談カテゴリー:人生相談・夫婦関係・結婚・コミュニケーション


目次

ご相談「本当の夫婦とは」

教えてください。

本当の夫婦とは、どのような関係なのでしょうか?

夫婦なら、悩みや不安があった時に相手に打ち明けるのは普通のことではないのでしょうか。

それとも、

「相手に迷惑をかけるから」

と、自分の中にしまっておくものなのでしょうか。

夫婦とは何なのか、わからなくなっています。


住職からの回答

こうさん、ご相談ありがとうございます。

「本当の夫婦とは何でしょうか」

短いご相談ですが、とても深い問いだと思います。

夫婦だから何でも話さなければならない。

夫婦だからすべてわかり合わなければならない。

私は、必ずしもそうではないと思います。

しかし一方で、

「迷惑をかけるから何も言わない」

という関係ばかりになってしまうと、同じ家に暮らしていても、心は少しずつ離れてしまうことがあります。


本当の夫婦とは「何でもわかり合える二人」ではありません

長く一緒に暮らしていても、相手の心をすべて理解することはできません。

夫婦であっても別々の人間です。

育った家庭も違います。

考え方も違います。

嬉しいことも、悲しいことも、感じ方は違います。

だから、

「夫婦なのだから、言わなくてもわかるはず」

と思わないことです。

むしろ、

わからないから話す。
違うから聞く。

そこから夫婦の関係は作られていくのではないでしょうか。


悩みや不安を打ち明けてもいいのです

こうさんは、

「悩みや不安があったら、打ち明けるのは普通ではないのですか?」

と尋ねています。

私は、

打ち明けていいと思います。

苦しい時に、

「実は今、こんなことで悩んでいる」

「今日は少し話を聞いてほしい」

と言える。

そして相手も、

「そうだったんだね」

と耳を傾ける。

夫婦には、そんな時間があっていいと思います。

ただし、

「夫婦なんだから、私の苦しみを全部受け止めるべきだ」

となると、相手も疲れてしまうことがあります。

大切なのは「話すか、話さないか」の二択ではありません。

相手を思いやりながら話すことです。


「今、少し話してもいい?」から始めてみる

悩みを打ち明ける時に、とても役立つ短い言葉があります。

「今、少し話してもいい?」

これだけです。

相手にも心の余裕がない時があります。

仕事で疲れているかもしれません。

自分自身の悩みを抱えているかもしれません。

そんな時に突然重い話を始めると、聞きたくても聞けないことがあります。

ですから、

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど、今大丈夫?」

と尋ねてみる。

それだけで、

「話を聞いてほしい私」と「話を聞く相手」

の両方を大切にできます。


「迷惑をかけない夫婦」より「支え合える夫婦」

「迷惑をかけたくない」

という気持ちは、相手を思いやる優しさでもあります。

しかし、人間は誰にも迷惑をかけずに生きることはできません。

病気になることもあります。

仕事で失敗することもあります。

落ち込むこともあります。

年を取れば、相手の助けが必要になることもあるでしょう。

夫婦とは、

一度も迷惑をかけない関係ではなく、お互いに支えたり、支えられたりしながら歩いていく関係

ではないでしょうか。

今日は私があなたを支える。

明日はあなたが私を支える。

それでいいのです。


仏教では夫婦をどう考えるのでしょうか

仏教には、夫婦について説かれた教えもあります。

『善生経(シンガーラ経)』では、夫婦がお互いを尊重し、それぞれ相手に対して誠実に務めを果たすことが説かれています。

一方だけが我慢する関係ではありません。

一方だけが相手に尽くす関係でもありません。

大切なのは、

お互いを尊重すること。

これは夫婦生活において、とても大切なことだと思います。


「心を一つにする」とは、同じ考えになることではありません

当時、この相談には、

「心を定め、心を一つにして進む」

という趣旨の回答が寄せられていました。

これも大切な言葉です。

ただ、

「心を一つにする」

というのは、

二人が何でも同じ考えになることではありません。

夫婦であっても、

「私はこう思う」

「私は違うと思う」

ということがあります。

それでいいのです。

違う考えを持った二人が、

「では、二人でどうしていこうか」

と話し合える。

私は、そこに夫婦の大切な姿があると思います。


話しても相手が聞いてくれない時は

こちらが話そうとしても、

「そんな話をするな」

「面倒くさい」

「自分で何とかしろ」

と言われることもあるでしょう。

一度だけなら、相手が疲れていたのかもしれません。

しかし、何度話そうとしても拒絶される。

馬鹿にされる。

怒鳴られる。

無視される。

そういうことが続いているのであれば、

「自分が迷惑だから話してはいけない」

と自分だけを責めないでください。

夫婦二人だけでは解決が難しい問題なら、信頼できる第三者や専門の相談機関などに相談する方法もあります。


住職からひとこと

こうさん。

私は、

本当の夫婦とは、完成された二人ではなく、話し合いながら夫婦になっていく二人

なのではないかと思います。

最初から相手のことをすべて理解できる夫婦はいません。

時には喧嘩もするでしょう。

すれ違うこともあります。

言わなくてもよかったことを言ってしまうこともあります。

反対に、言えばよかったことを言えないこともあります。

それでも、

「あなたはどう思っている?」

「私はこう感じているよ」

と、もう一度話してみる。

その繰り返しです。

悩みを話すことは、必ずしも迷惑ではありません。

ただし、相手にも心があります。

だから、

話すことと、聞くこと。
支えることと、支えられること。

その両方を大切にしてください。

夫婦とは、一人がもう一人を背負う関係ではなく、

二人で人生を歩いていく関係

なのではないでしょうか。

合掌


よくある質問

Q1.夫婦なら何でも話すべきでしょうか?

すべてを必ず話さなければ夫婦ではない、ということではありません。ただ、重要な悩みや二人の生活に関係する問題を一人で抱え続けると、すれ違いにつながることがあります。

Q2.夫に悩みを話すと「重い」と言われます。

相手の余裕がある時を選び、「解決してほしいのではなく、今日は話を聞いてほしい」と伝える方法もあります。それでも継続的に拒絶される場合には、夫婦以外の相談先を持つことも大切です。

Q3.「夫婦なんだから言わなくてもわかる」は間違いですか?

相手を長く知っていても、心のすべてを察することはできません。「わかってくれるはず」よりも、言葉にして伝えることを大切にしてみてください。

Q4.夫婦で考え方が違うのはおかしいですか?

おかしくありません。別々の人生を歩んできた二人ですから、違って当然です。大切なのは、違いをなくすことではなく、違いについて話し合えることです。

Q5.本当の夫婦とは何ですか?

一つの正解はありません。住職としては、お互いを尊重し、話し、聞き、時には支え、時には支えられながら歩んでいく関係だと考えます。


※この相談は2008年当時に「お寺ネット」へ寄せられた人生相談をもとに、読みやすく整理し、現在の住職としての見解を加筆したものです。夫婦関係や家庭の事情はそれぞれ異なります。深刻な夫婦問題、暴力、虐待などがある場合には、一人で抱え込まず、専門機関や公的な相談窓口にもご相談ください。

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