親から「死ね」「産むんじゃなかった」と言われます

親から「死ね」「産むんじゃなかった」と言われる|言葉の暴力に苦しむ娘の人生相談|お寺ネット
目次

言葉の暴力に苦しむ24歳女性の人生相談

24歳の女性です。

私は子どもの頃から、親からの言葉の暴力に悩んできました。

特に中学生の反抗期頃から、親の言葉に深く傷つくようになり、その苦しみが今も残っています。

毎日のように暴言を言われるわけではありません。

普段は優しい両親で、周囲から見れば仲の良い親子に見えると思います。

しかし、私が親と違う意見を言った時や、何か失敗をした時などに、

「産むんじゃなかった」

「死ね」

「なんでお前みたいなのが家にいるんだ」

などと言われます。

ひどい時には暴力を振るわれたり、家の外で寝泊まりさせられたりすることもあります。

そのため、私は今でも心の底から親を信用することができません。

そして親だけではなく、先生や友人など、人そのものを信用することが難しくなりました。

社会人になった現在も、対人関係で悩むことが多くあります。

普段は優しい両親なので、

「私の考えすぎなのではないか」

「ただの言葉の過ちだったのだ」

と思おうとしてきました。

しかし、ふとした瞬間に昔言われた言葉がよみがえり、とても苦しくなります。

24歳にもなって、こんなことで悩んでいると思われるのが怖く、精神科などにも相談していません。

誰にも相談できずにいます。

親から暴言や暴力を受けるたびに、

「死にたい」

という気持ちでいっぱいになります。

反対に、

「殺してやりたい」

と思ったことも一度や二度ではありません。

それでも両親に対する感謝の気持ちもあります。

そのため実際に死ぬことも、親を傷つけることもできずにいます。

しかし、

「いつか本当に実行してしまうのではないか」

と自分でも怖くなります。

私はどうすればいいのでしょうか。

治療を受けた方がいいのでしょうか。

それとも、親が子どもに「死ね」「産むんじゃなかった」と言うことは、どこの家庭でもあることなのでしょうか。


住職からの回答

カナコさん、ご相談くださってありがとうございます。

まず、一番最初にお伝えしたいことがあります。

「死ね」「産むんじゃなかった」という言葉を、あなたが我慢しなければならないわけではありません。

まして、暴力を振るわれたり、家から締め出されたりしているのであれば、

「どこの家庭にもあることだから」

と片づける必要はありません。

そして、

「24歳にもなって、こんなことで悩んでいる」

などと思わなくていいのです。

子どもの頃に受けた言葉は、成人したからといって自動的に消えていくものではありません。

言葉にも、人を傷つける力があります

仏教では「正語(しょうご)」といって、言葉をとても大切に考えます。

八正道の一つです。

言葉には、人を励ます力があります。

しかし同時に、人を深く傷つける力もあります。

刃物でできた傷は目に見えます。

けれど、

「お前なんかいらない」

「産むんじゃなかった」

と言われてできた心の傷は、外からは見えません。

だから周囲から、

「仲のいい親子じゃない」

と言われると、

「やっぱり私の考えすぎなのかな」

と思ってしまうことがあります。

しかし、外から仲良く見えることと、あなたが傷ついていることは両立します。

あなたが感じてきた苦しみまで否定する必要はありません。

「普段は優しい」ということ

あなたは何度も、

「普段は優しい両親です」

と書いています。

だからこそ苦しいのだと思います。

いつも怖い人なら、

「あの人は怖い」

と整理できるかもしれません。

ところが、

昨日は優しかった。

今日は笑って話していた。

それなのに、突然、

「死ね」

と言われる。

すると、

「本当は優しい人なのだから、私が悪かったのではないか」

と考えてしまいます。

しかし、

普段優しいことによって、傷つける言葉や暴力がなかったことになるわけではありません。

ここは分けて考えてください。

親に感謝していても、傷ついていいのです

そしてもう一つ。

あなたは、

「親には感謝しています」

と書いています。

その気持ちも否定する必要はありません。

親に感謝する心と、

親から傷つけられて苦しい心。

二つが同時にあってもいいのです。

「育ててもらったのだから、何をされても我慢しなければならない」

ということではありません。

仏教では親への恩を大切にします。

しかし、それは暴力を受け続けなさいという意味ではありません。

感謝することと、距離を置くことは両立します。

今、一番大切なのは「親を許すこと」ではありません

こういう相談をすると、

「親を許しましょう」

「親にも事情があったのでしょう」

と言われることがあります。

確かに、ご両親にも苦しみや事情があったのかもしれません。

しかし、今それを考えることを最優先にする必要はありません。

あなたは、

「死にたい」

「殺してやりたい」

そして、

「いつか実行してしまいそうで怖い」

とまで書いています。

これは一人で抱えておく段階ではありません。

今必要なのは、親を許すことより、あなたとご両親双方の安全を守ることです。

もし「今、本当に自分や親を傷つけてしまいそうだ」と感じる時には、その場を離れてください。

刃物など危険な物から距離を取り、一人で抱えず、身近な人や医療機関、緊急の相談先につながってください。

切迫している場合には、110番・119番など緊急の助けを求めて構いません。

一度、専門家に相談してみてください

「治療した方がいいのでしょうか」

というご質問ですが、

私は一度、精神科・心療内科や心理職など、専門家に相談することをおすすめします。

これは、

「あなたがおかしいから病院へ行きなさい」

という意味ではありません。

長い間抱えてきた苦しみを、一人だけで整理しなくていいということです。

診断や治療が必要かどうかは、実際に専門家と話したうえで判断してもらえばいいのです。

まず、

「子どもの頃から親の暴言や暴力に苦しんでいます」

「昔の言葉が突然思い出されます」

「死にたいと思うことがあります」

「親を殺したいと思うこともあり、自分が怖いです」

と、そのまま話してください。

大切な情報ですから、隠さなくて構いません。

家を離れることも「親不孝」ではありません

もし現在もご両親と暮らしていて、暴言や暴力が続いているのであれば、

物理的に距離を取ること

も考えてください。

一人暮らしをする。

親戚や信頼できる人のところへ一時的に避難する。

行政や相談機関に相談する。

いろいろな方法があります。

親子だからといって、いつも一緒にいなければならないわけではありません。

離れることで初めて、お互いを落ち着いて見られるようになることもあります。

仏教の「慈悲」は、自分にも向けるものです

仏教では「慈悲」を大切にします。

他人を慈しみ、苦しみを取り除こうとする心です。

けれども、

慈悲は他人だけに向けるものではありません。

あなた自身もまた、苦しんでいる一人の人間です。

親を大切にしようとするあまり、自分だけを犠牲にしてはいけません。

自分を守ること。

助けを求めること。

距離を置くこと。

それもまた、自分自身に対する慈悲ではないでしょうか。

「死ね」と言われた言葉を、自分の言葉にしないでください

子どもの頃から繰り返し言われた言葉は、いつの間にか自分の心の中の声になってしまうことがあります。

親から、

「死ね」

と言われ続けているうちに、

自分自身まで、

「私は死んだ方がいい」

と思うようになってしまう。

でも、その二つを分けてください。

それは、あなたの命の価値を表した言葉ではありません。

誰かが怒りや感情の中であなたに投げつけた言葉です。

他人から投げつけられた言葉を、一生自分の心の中で繰り返す必要はありません。

これから少しずつ、

「私は生きていていい」

という言葉に置き換えていってください。

時間がかかって構いません。

24歳。これから自分の人生を作っていけます

今までの人生では、

「親にどう思われるか」

ということが、とても大きかったのではないでしょうか。

でも、これからは少しずつ、

「私はどう生きたいのか」

を考えていいのです。

親との距離も自分で決めていい。

誰と付き合うかも決めていい。

どんな場所で暮らすかも決めていい。

そして、誰を信用するかも、急いで決める必要はありません。

一人ずつ、

「この人なら少し話しても大丈夫かな」

という人を見つけていけばいいのです。

最後にもう一度申し上げます。

「あなたの考えすぎ」と片づけないでください。

そして、

一人で耐え続けないでください。

親を憎む自分を責める必要もありません。

今すぐ親を許す必要もありません。

まずあなた自身が、安全な場所で落ち着いて生きられること。

そこから始めましょう。

合掌


今、最初にしてほしいこと

この相談では、順番がとても大切です。

① 自分や親を傷つけそうな時は、その場を離れる
② 一人にならず、安全を確保する
③ 信頼できる第三者に状況を伝える
④ 精神科・心療内科など専門家に相談する
⑤ 暴力が続いているなら、親と距離を取る方法を考える

「家族の問題だから家族だけで解決しなければ」と考えなくて構いません。

外の人に助けを求めてください。


この相談から伝えたいこと

親に感謝している。

でも、親が怖い。

親を好きな気持ちもある。

でも、憎い。

一見矛盾しているようですが、人の心にはそうした複数の感情が同時に存在します。

無理にどちらか一つに決めなくていいのです。

そして、

親を大切にすることと、自分を守ることは対立しません。

親子であっても、傷つけられ続けることを我慢する必要はありません。

距離を置いてもいい。

相談してもいい。

助けてもらってもいい。

あなた自身の人生を生きていいのです。

合掌

Name: カナコ
Date: 2008/01/02(水) 02:31 No:47
※この相談は2008年当時に「お寺ネット」へ寄せられた人生相談をもとに、読みやすく整理し、現在の住職としての見解を加筆したものです。相談窓口や医療・福祉などの制度は当時から変更されている場合があります。現在、暴力を受けている方や、ご自身または他人を傷つけてしまいそうなほど切迫している方は、一人で抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口、緊急時には警察・救急などへ相談してください。

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